バイヤーとしてプロデューサーとして、ファッション業界に様々な旋風を巻き起こしてきた藤巻氏。
最近、よく部下にかけるという言葉。「時代を見つめ、人を見つめ、その関係性を自分というフィルターに通して感じることが大切なのだ」。
「私自身が、デザイナー、企業、売場、生産者をまとめあげ、予算を立てて消費者に提案するところまでやらないと気がすまないタチ。自分独自の“軸”を持って行動する大切さを知って欲しい」と、経験談を交えて語ります。
■ “思い込み”ではなく“思い入れ”を 「横浜出身の私が伊勢丹を退社し、バッグのキタムラへ入ったのは、元町への愛着があったから」。
「最近の元町は誇り―― プライド―― と売り上げが比例しない現実に苦しんでいます。横浜開港当時までさかのぼる歴史と品格がある街並みには、味わいの部分もあれば、時代が止まってしまている部分もある」。
「キタムラから仕掛けて、歴史をどのように蘇らせていくか挑戦するつもりです。どうやって魅力ある街として機能していくか。ポテンシャルを示していきたい」。
「キタムラのテーマに『微変』を挙げました。『微妙に変化させる』。ある部分は急変させる必要もありますが、そのバランスは今のファッションビジネスにおいて重要な要素です」。
キタムラ初のメンズ・ショップで展開した新商品開発でのこと。何度も絵を描き直し、8回もサンプルを作り直させたデザイナーの姿勢に心打たれたことに触れ、「彼にはキタムラ・ブランドへの思い入れを感じた」と言います。「デザイナーだけに限ったことではなく『私はこれが良い』と“思い込んだ”モノはたいてい売れません。メーカーや消費者、素材、色など詳細に周囲を、つまり時代性を見つめコンセプトをつきつめて考えるかどうかが、商品の違いに表れる」。
「デザイナーには“思い入れ”を大事にして欲しいですね」。
■ 元祖・カリスマバイヤーとの出会い 伊勢丹時代、販売員を経てアシスタント・バイヤーの仕事に携わった頃。「勢いを付けてきたビームスやシップスなどのセレクトショップが、じわじわと百貨店の後方に迫っているのを感じていました。きっと追い上げてくるだろうと思いつつ、上司に許可を得ず独断で買い付けをし、何百万もの赤字を出してしまって」。
「その時に身にしみてわかったのが、買っているだけではだめだということです。コンセプトを頭で考え、具現化するのだと学びました」。
その後、伊勢丹と提携が決まったバーニーズ・ニューヨークに出向。「それまでの経験がすべて覆されたのが、バーニーズにいた女性バイヤーとの出会いです」。
「立ち上げ準備の1年間、日本と世界を飛び回り、どこで仕入れてどう交渉して、どうやって作っていくのかというシミュレーションを訓練した時期でもありました。英語もしゃべれず初対面の挨拶もそこそこに、初日からそのトップ・バイヤーの鞄持ちになりました。『役に立たない』と無視されながらも、私はひたすら付いて行くことしかできないんです。パリ・コレクション、ミラノ・コレクションを見てデザイナーを訪ね、一つの商品、一つの色、一つの素材を求めて貪欲に動き回る姿を追いました。徹底的に考え抜き、アシスタントのセンスもうまく使い分けながら、どんどん仕事をこなしていく。半年後にでき上がった売場はまるで美術館のような空間になっていました。そのバイヤーはいわゆる、目利きな人です」。
「仕事ではストイックに働き、毎週末仲間とパーティーを開く、そんなパワフルな彼女から『これが私のやり方。あなたも自分のやり方を作り上げなさい』と言われたことを今でも覚えています」。「同時に、クリエーター仲間との会話から新しい発想を引っ張り出すコミュニケーション能力も、バイヤーに求められるスキルだと肌で感じました」。
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 藤巻 幸夫 氏
ふじまき ゆきお
元・キタムラ専務
(現・福助株式会社代表)
今日の日本のファッションビジネスを語る上で、この人抜きには考えられない存在。伊勢丹バイヤー時代は『解放区』『リ・スタイル』『BPQC』を立ち上げ、バーニーズニューヨーク出向時に真のバイヤーズ魂に目覚め、カリスマバイヤーとしてメディアにも多数取り上げられる。伊勢丹退社後はデザイナー徳永俊一をプロデュースし、、多方面に活躍の場を広げる。その後、バッグの『キタムラ』の取締役に就任し新生キタムラをプロデュース。その後、経営再建中の福助の社長就任。また朝日新聞土曜版に『藤巻兄弟』を連載執筆中。その他、多くのファッションエリア開発に参画。
福助株式会社
http://www.fukusuke.co.jp
株式会社キタムラ
http://www.motomachi-kitamura.com
ISETAN 伊勢丹
http://www.isetan.co.jp
Japan Design Net「桑沢デザイン塾」02年2期ファッション
http://www.japandesign.ne.jp/KUWASAWAJYUKU/KOUZA/14/fashion/5/
Japan Design Net「桑沢デザイン塾」01年2期ファッション
http://www.japandesign.ne.jp/KUWASAWAJYUKU/KOUZA/11/fashion/5/
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