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 梅 田 正 徳

 
私と赤いバレンタイン

私がイタリアへ渡った動機は、20代前半にパゾリーニやアントニオーニやフェリーニなどのイタリアン・リアリズムの映画とイタリアのデザイン雑誌の影響を強く受けたからである。
ドムス誌ではカスティリオーニ、スカルパ、マーリなどの作品、ゾディアック誌のソットサスの特集、パージナ誌でのピントーリやムナーリのグラフィックなど、当時のデザインの常識から逸脱して魅力的であった。
私は運良くカスティリオーニ兄弟とソットサスの2巨匠の下で学び、さらに若くして亡くなった天才ジョエ・コロンボとも親しく、彼らの影響も大きい。

ブリオンベガのラジオはザヌーゾの傑作の1つであり、カスティリオーニから私たちの結婚祝いにと頂いたものである。オリベッティ社の赤いバレンタインはソットサスのデザインで、色は赤しかなく、ソットサスに何故赤い色しかないのかと尋ねてみたら、彼は「中国の毛沢東の赤い手帳と同じで、タイプライターは文章作成というメッセージ性の高いツールなので、強いシンボル性を持たせたかったんだ」と説明してくれた。そのころから私は、コンセプチュアルなソットサスに少しずつ洗脳されていった。 この古ぼけたバレンタインは、その後数10年間、私と外とのコミュニケーションに協力し続けてくれた可愛いヤツである。

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当時の梅田氏


梅田正徳
1941年神奈川県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。1966年渡伊、カスティリオーニ事務所、オリベッティ社の顧問デザイナーとしてエットレ・ソットサスと共に活動し、1979年に帰国後メンフィスグループの活動に参加。

プロダクトから環境まで幅広いデザイン活動を行なっている。ドイツのブラウン大賞、IF賞、日本インテリアデザイナー協会賞、Gマーク公共空間部門大賞、シカゴアセナエム美術館グッドデザイン賞などを受賞。NYメトロポリタン美術館をはじめ世界10ヶ所の美術館に作品が永久保存されている。


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