ジャパンデザインネット
海外リポート
トスカーナ
第25回 (4)
トスカーナのランドスケープオフィス事情 ― 8
植物カタログの歴史 その2(1970年〜現在)
■ シンボルロゴになった樹:ヨーロッパナラ“セレクト”
<このヨーロッパナラ“セレクト”はどのようにして生まれたのですか?>
「この品種は私達が努力を重ねて出来上がったオリジナルの樹なんですよ。もう約20年前になりますね。ヨーロッパナラの新品種を探しはじめ、遺伝子に問題の無い品種改良の研究をしました。当時の畑の中と近くの森や林から4500個のドングリを集め発芽を試みました。交配種を作ることはそんなに難しいことではないのですが、新品種を生み出すのは簡単ではありません。10年ほどの間にあらゆる交配種が成長しましたが、6年目ぐらいからほとんどが原種に近いものに戻りましたね。その中で数種は葉の色や大きさのバリエーションや樹形の違いがありましが、おかしな樹形だったり。その後の成長の中でたった8本だけが、新しい性格をもった種類に、結局私たちの望む品種改良に値したものは2本だけになりました。最終的に1本になったんですよ。きれいな成形の卵型でしょう?」
<そしてヨーロッパナラ“セレクト”はPiante Matiのシンボルツリーなんですね?>
「そうです。この樹が生まれるまで、私達は長い年月をかけて特殊な研究を重ねてきたと思います。寝る時間も惜しんで観察した日々もありました。その努力の結果、この美しい樹が出来たこと、この歴史もシンボルに値するものですよ。
そうそう3年前に移植を余儀なくされました。それまで立っていた場所が、新しい高速道路計画に引っかかってしまったのです。大掛かりな移植でしたが、大事な樹です! 慎重に根鉢をつくりカミオン(トラック)で運びました。心配した根付きもよく、今でもシンボルとして私たちの事務所を見守っていますよ」
<ヨーロッパナラ“セレクト”の需要は?>
「実は、この樹は売り物ではないんです。私たちの研究成果ですが、世界にただ1本です。リクエストされたこともありましたが…。」
2回にわたってお伝えしたカタログとロゴデザインの歴史、この話のベースにあるシンボルツリーの誕生、いずれも彼らのナーサリーの歴史を伝え続けてきた大切なものである。そしてこの貴重な資料をきちんと保管しながら公開できるという彼らのもつスタンスがナーサリーの発展に繋がっているのだと感じる。
ヨーロッパナラ“セレクト”
シンボルツリーでありロゴデザインのベースでもある大切な樹
ピアンテマーティの3人兄弟
左から長男アンドレア、次男フランチェスコ、三男パオロ
大掛かりな移植風景
現在の場所に設置養生しているところ
根鉢を掘り起こした樹をトラックで運んでいる
リポートへのご意見、お待ちしております
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