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第2回
ラテンのコラボレーション

 update 2005.05.25

リポート : 安部彩英子 / ランドスケープデザイナー 




今年の初め、マドリードの王立植物園Real Jardin BOTANICOに、新しいゾーンが完成しました。スペイン前首相の盆栽コレクションを陳列するための庭園です。細長く高低差のある敷地を上手く利用し、波打つ生垣の迫力ある長さと、段違いの面白さの中に集められた盆栽の数々が並べられています。

設計&デザインは、スペインのランドスケープアーキテクトであるFernando Caruncho(フェルナンド・カルンチョ)氏、植栽選定に伴う技術的な提案と植物の育成をPIANTE MATIが担当し、最終植え込みはマドリード地元の事務所と協力して、完成したものです。

王立植物園HPと2月17日の記事サイトをご紹介します(スペイン語/一部英語)。
有名な国立プラド美術館に隣接しています。
■Real Jardin BOTANICO (写真だけでも楽しめます)
 http://www.rjb.csic.es/index.php
■Jueves, 17 de febrero de 2005
 El Jardín inaugura una nueva zona de exposiciones y la colección de bonsáis
 (BONSAIコレクションの為の新しいゾーンが誕生しました)
 http://www.rjb.csic.es/fichaprensa.php?id_not=74

作品の紹介とプロジェクトの流れをお話する前に、まずはこの2つの事務所の出会いをFrancescoに聞いてみます。

■ 最初の出会いのきっかけは何だったのですか?
もう15年も前ですが、Caruncho氏がピストイアを訪れ、我々のナーサリー(種苗園)を見学に来た時が最初の出会いです。ある日の朝に、ブナやマグノリアの材料見学しに訪れたのがきっかけでしたね。もう長い付き合いで、今では友人の域で仕事をしています。

友人の域で…というのは? TU(友達同士の言葉)、LEI(丁寧語を使う関係)がはっきりしているのはラテン語(イタリア語)の特徴でもあり、仕事上でもいい関係になると、前者のラフな言葉で会話するようになるのが普通です。ボスと部下の間柄でも、ほとんど丁寧語や敬語は聞こえてきません。ラフな言葉=信頼関係が成り立っている、といった感じです。

■ お二方のコミュニケーション言語は?
最初の頃は、両方の母国語イタリア語とスペイン語に加えフランス語、英語…と、お互い理解するためにあらゆる言葉で努力あるのみ!という感じでした。現在は、Caruncho氏がイタリア語をマスターしていますが、お互いに理解が難しくなった時には、フランス語を使うことが多いです。

Fernando Caruncho氏
Fernando Caruncho氏(ランドスケープデザイナー)
http://www.fernandocaruncho.com/
竣工セレモニーの中、Francescoのビデオカメラに振り向いたFernando Caruncho氏

共通語がフランス語というのは、ラテンのコラボレーションらしさを感じます。英語は最終手段なのでしょうか。確かに「読む」という部分についてはお互いの言葉(イタリア語&スペイン語)は近いですが、発音は違うので最初「話す」のは大変だったようです。

余談ですが、海外から見れば日本語と中国語の区別は全くつかないようで、筆者がイタリアに滞在中も、時々「これを訳して欲しい」と中国語の文章を見せられたものです。
また、今回のインタビューは、私のつたないイタリア語の質問ニュアンスを酌んで、Francescoがきちんとしたイタリア語に直して、マドリードの事務所に質問を繋いでくれました。そして、Caruncho氏からは英語で回答を頂きました。

では、作品の紹介の序章として、Caruncho氏に王立植物園について聞いてみましょう
■ Real Jardin BOTANICOは、マドリードの中でどんな存在の庭園なのですか?
我々スペイン人にとって、ここは間違いなく象徴的な庭園です。特にマドリードに住む我々にとっては、大変貴重な庭園です。
全面積9haのこの庭園のオフィシャルデザイナーはSabatini氏(イタリア)ですが、直接手がけたのはVillanueva氏(スペイン)で、Sabatini氏のアシスタントデザイナーです。18世紀のクラシカルなこの庭園は、隣接するEl Buen Retiro(レティーロ公園:元はレティーロ離宮の庭園)の一部としてデザインされました。現在、年間30万人が訪れており、我々マドリード住民に愛され続けています。


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