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第22回
著書「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」裏話

 update 2005.08.17

リポート : 山本由香 / デザインライター 




私は今年でスウェーデン在住7年になりますが、この5月に念願の本を出版することができました。ウェブサイトやメールマガジンを通してコツコツとスウェーデンデザインを紹介してきたことが形になり、本当にうれしく思っています。私がスウェーデンデザインの情報を発信しようと思ったきっかけは、ある日本の編集者のひとことでした。「北欧の情報は日本にはまだまだ少ないから、もし興味があったらぜひ」と言われ、デザインの知識もほとんどなかった私にそんなことができるのだろうかと思うと同時に、スウェーデンのデザインのすばらしさに魅せられ始めた時期でもあったので、できる範囲で何か始めてみようと思い立ちました。ウェブデザインの学校にも通っていましたので、サイトの立ち上げはちょうどいい実践となりました。

北欧デザインの予備知識がない分、有名無名を問わず、素直に良いデザインに感銘できたのはよかったことかもしれません。スウェーデンデザインの何にいちばん魅せられているかというと、“誰もが平等に良いデザインの恩恵を受けるべき”というスウェーデンの方針に、きっちりと応えたデザインが多いことです。以前の私にとって、デザインという言葉は特別なものでした。実際日本にいた頃は、良いデザインは高いお金を払って付加価値として購入するものと思っていました。しかし、スウェーデンではそうではありません。良いデザインは付加価値ではなく共有価値として、全ての人のためにあるのです。特に高齢者や障害者、子供など、社会的に弱い立場にいる人たちこそ良いデザインを使うべきという考えがあります。まだ見たことはありませんが、服役囚の暮らす刑務所も良いデザインを採用しているのではないかと想像してしまいます。良いデザインとはカッコイイとかキレイというよりも、使いやすく機能的で、暮らしがより便利になることが何よりも大切です。その上見た目も美しければ、使う人が幸せを感じることができます。そういった心の余裕や充実感を持つこと、それが必要なことだとスウェーデンでは考えています。

そういう目で見てみますと、スウェーデンと日本とで大きく異なると思うのは高齢者施設や病院のデザインです。身体を動かすことが困難な人々は、同じ病室や部屋に長くいることが多くなります。そんな中、何の気配りもない地味なカーテンや、何の絵も飾られていな殺風景な壁は、人間にとって大切な感情そのものを殺してしまいかねません。光が差し込む明るい色彩のカーテンがある窓辺や、美しい絵画の飾られた壁は、そこに暮らすだけで心地よく、幸せを感じることができます。美しい色彩は人間の感情を豊かにする大切な役割をします。

この本は私の住んでいるスウェーデンのデザインにフォーカスしていますが、他の北欧諸国に比べて、スウェーデンデザインは特に機能性を第一に考えているように思います。どんなに美しいデザインでも、使い勝手が悪ければ良いデザインとは言われません。また、環境に配慮したデザインであることもとても重要です。スウェーデンのデザイン賞は、そのあたりを実によく観察しています。ただ単にセンスのいい北欧デザインとしてではなく、北欧デザインがどうしてこういうデザインなのか、そしてそれは誰のためなのか、そこまで考えながらこの本を読んでいただければ幸いに思います。

今回の本の作成で特に苦労したのは、本に載せる画像を選ぶことでした。本当にたくさんの画像があり、その中からほんの一部を選ぶのは文章を書くよりも大変でした。載せきれなかった画像も多数ありますので、今回は特別にその中からどうしてもお見せしたい画像をいくつかご紹介させていただきます。掲載できなかったこれらの画像も通して、この本をより深く理解していただければうれしく思います。

次ページに続く







アーラ社のパッケージ大集合
【 1 】 アーラ社のパッケージ大集合。アーラというと牛のロゴが有名ですが、それ以外のパッケージもあります。ヘラジカはいかにもスウェーデンらしいイラストです。

エングラマルクのパッケージデザインも、本書で紹介しているのは一部です
【 2 】 エングラマルクのパッケージデザインも、本書で紹介しているのは一部です。左の2つのパッケージは子供のおしり拭きナプキンですが、子供らしくかわいらしいイラストです。右は園芸用土ですが、見ただけでそれが園芸用と分かるデザインです。

生活デザイン
【 3 】 生活デザイン。スーパーや薬局などに普通に見かけるものばかりですが、そういったものが実にデザインコンシャスなのがうれしいです。左上は国営アルコール店、システムボラゲットのカタログです。右上は、オリエンスデパート製の英語とスウェーデン語の辞書です。言語の種類によって色が異なります。下は国営薬局アポテックのパンフレットです。左が乾燥肌について、右が鎮痛剤についてです。



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