
|

|
NAVIGO と NAVIGO IMAGINE"R" イマジン“エール”があり、前者は一般対象者で、後者は26歳以下の学生を対象とする。
日本人の読者には、JR東日本で販売している“Suica”といえば理解して頂けるだろうか。
パリのメトロの改札も、従来は一枚の切符を機械に投入してから、手動でバーを押して入場するシステムである。しかし、2001年10月に、当初、実験的に導入した電子カードの普及は、今後のメトロ利用者を教育しなおすといわれている。
カードを改札機械上部の紫色面に近づけるだけで“ピロリン!”という音を発し改札できるシステムである。特に女性の場合、バッグの中からわざわざ財布一式やパスケースなどを取り出す必要もなく、手がふさがっている状態でも、カードが読み込まれればよいので、大変に便利である。乗客の利便性はもとより、RATP としても、“タダ乗り”を防ぐ対策として最も効果的、と前向きである。
2003年からは、CARTE ORANGE (パリ市内乗降自由の1カ月定期)を NAVIGO カードに切り替えていく方針である。CARTE ORANGE は毎月窓口で購入するシステムであるので、特に月末と月はじめは混み合い、通学・通勤者はうっかり遅刻をしてしまう恐れがあるが、NAVIGO は、所定の駅窓口で即発行してくれる方法と、申込書を記入して郵便ポストに投函するだけでカードを自宅まで郵送してくれる2通りがある。口座から毎月自動引落し、もしくは一括払いのどちらかを選ぶことができる。当然、一括払いの場合は、数パーセントの還元システムも適応される。
さすがの得策であるが、RATP の現金回収策も中々考え抜かれている。長期バカンスにさしかかる場合には、利用期間を延長、区間の変更、途中解約も無料にて対応する。
「うっかり、紛失した場合にも、再発行を即致します!」と唱うのだが、パンフレットの末尾には、新規入会者は 7.60ユーロが必要であると小さく書いてある。そして、なぜか NAVIGO IMAGINE"R" は、契約内容が一部異なるためか、7.70ユーロと料金が統一されていないのも不思議である。電子カード会社の手数料なのだろうか。久し振りに、丁寧に読んだせいもあり、妙なことに疑問を持ってしまった。
耳寄りの情報としては、IMAGINE"R" イマジン“エール”利用者(26歳以下)には、MK2 グループの映画館で上映される映画が、通常 8.50ユーロのところ、月曜日から木曜日は 5ユーロ、金曜日から日曜日は 6.50ユーロと割引対象にもなる。今後も、企業の介入が見込まれ、サービス内容も充実することは間違いないであろう。
注)1ユーロ=122円相当 2002.12現在
パリに限らず、便利になる世の中には、改善される反面、考えさせられる要素が含まれている。例えば電子チップは、我々の生活のありとあらゆるモノに組み込まれており、この目に見えないミクロの世界が、生活を支えている。しかし、その一部が狂うことにより、生活リズムに混乱を招くことも考えられる。あまり、新年早々消極的な考えをおこしたくはないが、利便性にだけ身を委ねていると危機に対して鈍感になっていくのは確かである。
|
 |
 |
 |

NAVIGOカード他の料金一覧表


折りたたむと封筒になり投函できるじゃばら式の申込書


IMAGINE"R" セット RATPの窓口で尋ねると、封筒にセットされた申込書を入手できる


改札機械 紫色の渦上部分がカードを読み込む 将来的には、クレジットカードとしての機能も果たす予定
デザインは、RATP 内部 agences Plan creatif と Paris Venise Designのコラボレーション
注)改札機械 以外 写真 : 浦田 薫
|