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第14回
ガソリンスタンドが映画館に ─ Cineroleum

 update 2010.09.29

リポート : 早津 毅 / 建築家 




 この夏ロンドン市内で話題を呼んだ仮設プロジェクト、Cineroleumについてレポートします。

 このプロジェクトは、使われなくなったロンドン市内のガソリンスタンド跡地を、一時的に半野外映画館として使う試みです。ロンドン東部のクラーケンウェルで行われました。

 驚くべき事に、このプロジェクトは若い学生の建築家集団の自主的な発案+制作+運営によって実現されました。現在、事務所の仕事を手伝ってくれているAdam WillisとAlex Mclean(アダム君、アレックス君と呼ぶ)もその集団の一人。彼らはケンブリッジ大学で3年生を終えて、次のディプロマコースに進む前に実務の修行中です。寡黙ながらも、物づくりに対する熱き情熱を胸に抱いたクールな若者である彼らに、話を伺いました。

 左がアダム君、右がアレックス君。

 アダム君「学校を終えて事務所で半年くらい実務を経験したけど、学生ではなかなか建物を建てる業務にはつかせてもらえないし、実際の建物を建てるスピードの遅さに不満を感じてたんだ。そんな不満を持った同級生たちが集まって、自分たちの手を使って何か作れないか色々考えた。」

 アレックス君「そんな中、ロンドン市内でいくつか使われなくなっているガソリンスタンド跡地に目を付けたんだ。不況で新しい建物を建てる計画が頓挫している場所だね。土地のオーナーに直接交渉したよ。オーナーも土地をほったらかしにせず、なにか新しいことに使いたがっていたので、話がうまく進んだんだ。」
左がアダム君、右がアレックス君
 ガソリンスタンドの鉄骨の屋根をそのまま残し、その中をスッポリと銀色のカーテンで覆っています。その異様さは道行く人々の眼を引かずにはいられません。

 アダム君「実は映画館にするというアイデアより、ガソリンスタンドをカーテンで覆ってしまうというアイデアの方が先だったんだ。」
映画館
© Morley Von Sternberg
 カーテンはタイベックという建物の断熱と、防水に使うプロダクトからできています。このカーテンはみんなでミシンを使って縫い合わせたそうです。カーテン一枚で全長12メートルもあるそう。

 アダム君「この素材もたまたまスポンサーが見つかったから使っただけ。ゴワゴワでドレープにするのに苦労したよ。糸で縫うのも一苦労。」
カーテン
© Morley Von Sternberg
 制作過程の写真をアダム君からいただきました。プロトタイプです。カーテンを上げ下げする仕組みが後ろに描かれているのが伺えます。この仕組みはシアターのカーテンを作る職人さんに色々アドバイスをもらって作り上げたそうです。
制作過程
© cineroleum
 カーテンの海に埋もれる制作現場。

 アダム君「カーテン一枚縫うのに少なくとも5〜6人の人手が必要だったよ。ミシンもすぐ壊れちゃうし。でも苦労の甲斐あってとってもきれいにできたと思う。素材と格闘したからいい結果が生まれたんだね。」
制作現場
© cineroleum

制作現場
© cineroleum
 カーテンを引き上げると、ちゃんとシアター形式の座席が整然と並んでいます。
座席
© Morley Von Sternberg
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