JDNトップ > ニッポンの家具デザイン

ニッポンの家具デザイン


第51回
秋のデザインウィークを振り返る 後編

 update 2011.02.09

くろだあきこ / ライター・デザインエディター 




 デザインイベントは一年中、どこかで開催されています。業界関係者のみのイベントもあれば、一般客も入れるものもある。見本市もあれば、即売OKな展示もある。今回は、毎年秋に開催のデザインウィーク中に開催されていたthe new market、DESIGN HEART、DESIGNTIDE market、3つの「買える」イベントを振り返りつつ、使う人に届けるための仕組みについて考察します。

■ デザインイベントは「見る」から「買える」へ
 ハイクオリティなプロダクトが集まる各種の展示会は、デザイン好きな人にとってはパラダイス。高揚した気分はデザインについて語り合うことで昇華するのが正しいかもしれません(実際に、多くのデザイナーさんたちは会場のあちこちで濃い会話を交わしています)が、買うことでイベントに参加したいと思う、一般の人だって多いはず。デザインに対する興味の高まりは、東京デザイナーズウィーク(TDW)の入場者数が、7万2139人という事実からも分かります。

 デザインは、最終的に買って使う人に届かなければ意味がありません。ここ数年のデザインイベントは関係者限定の見本市から一般客へと門戸を広げ、エンターテイメント要素が強くなってきました。であれば、作品の発表と同時に、「見るだけじゃなく買いたい」と思う人達への直接的なアプローチがあってもいいのではないか。そんなふうに考えていたところ、2010年のデザインウィークでは、出展作品=その場で買える商品、というイベントが注目を集めました。

■ the new market (http://design-coop.jp/
 買えるイベントはデザインウィーク中にいくつかありましたが、「販売する」姿勢が最も明確だったのが、五反田の味ビルで開催されたthe new marketです。これはセルフプロダクション(企画デザイン〜広報〜販売などをすべて自ら行う)として活動するクリエイターが中心となり立ち上げたデザインエキシビジョンで、「参加者=運営者=creators’ cooperative」がコンセプト。オープン当日に台風が接近したものの、その夕方のオプニングパーティーには250人以上の来場者があったとか。会場の3階には大きなこたつやカフェスペースがあり、デザイナーが講師を務めるワークショップも開催されていて、のんびりくつろぎながらイベントに参加した方も多かったようです。

 the new market のベースになったのは、9組の若手クリエイターとデザイナーによる「novelax(ノベラックス)」で、これまでにもデザインウィーク期間中に「買えるイベント」を実施してきました(デザイナーズウィーク期間外でもnobelax storeを展開)。2010年はさらに広がりを持たせたイベントにしようと、知り合いのデザイナーなどに声をかけ、最終的にはクリエイター35組が参加するイベントに発展しました。どのようにイベントが作られていったかは、the new marketの中にあるイベントレポートをご覧いただくと分かりやすいのですが、用意されたイベントにのっかるのではなく、あらゆることを共有しながら全てを自分たちで作り上げたスタイルは、参加クリエイターの意識を高めることにもなりました。さらには、イベントを成功させようという原動力にもなったのではと思います。全体的に見やすく、また、クリエイターとも会話しやすい柔らかな雰囲気がありました。

 全作品を集めたショップが4階にあり、それぞれのブースでの販売も可能。販売不可のイベントでは、売っているお店を聞いて再度足を運んだり、取り扱うお店が見つかるまで待つことになります(どこで買えるかは、たいていの場合自分で情報を探さないと辿り着けない)ので、いいなと思ったその時に買えることは重要です。また、来場者にとってみても自分が気に入ったものを選ぶことで、イベントに参加している感覚が高まるのではないでしょうか。 【 写真 01〜51 】

次ページに続く





the new marketのサイン
【 1 】 味ビルの階段をあがったところにthe new marketのサイン。

買い物カゴ
【 2 】 「スーパーマーケット」を意識し、エントランスの壁を埋めるのは買い物カゴ。

広々とした会場
【 3 】 広々とした会場。粉塵の積もった状態を掃除するのがとても大変だったとか。

デザインした本人がわかりやすく説明
【 4 】 デザインした本人がわかりやすく説明。muteのウミノタカヒロさん。

muteのTill umbrella stand
【 5 】 2009年のDESIGNTIDE発表後、すぐに商品化が決まったmuteのTill umbrella stand。

mute
ワークショップ用にmuteがデザインした
1枚の板を切って無駄なく使うので、このような座面に。
muteのテントをイメージした照明
【 6 】 おろし金? いえ、ぴかぴかに磨いたステンレスの鏡。こちらもmute。会期中に販売店が決定し、近日中に販売開始となるそうです。
【 7 】 ワークショップ用にmuteがデザインしたスツール。A2サイズの板から作れます。
【 8 】 1枚の板を切って無駄なく使うので、このような座面に。
【 9 】 muteのテントをイメージした照明。
マガジンラック
背もたれのないチェア?
デザイン・作製は佐々木貴充さん
FormlessDesignの舗装された家具シリーズ
【 10 】 2009年のDESIGNTIDEで発表された、1冊のためのマガジンラック。高級ホテルのラウンジなどに似合いそう。こちらはまだ商品化ならず。
【 11 】 佐々木貴充さんの作品。背もたれのないチェア? それともスツール?
【 12 】 この状態でもチェアが想像できてしまうところが不思議ですね。
【 13 】 シンプルなフォルムの家具は、FormlessDesignの舗装された家具シリーズ。


  1  
  2  
  3  
  4  
  5  
 N E X T


JDNとは広告掲載について求人広告掲載お問合せ個人情報保護基本方針ウェブサイト利用規定サイトマップ
デザインのお仕事コンテスト情報 登竜門展覧会情報

Copyright(c)1997 JDN
このwebサイトの全ての内容について、一切の転載・改変を禁じます。