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ミラノ - Life is design -
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第14回 (6)
ミラノサローネ 2004





さて、サローネ3日目。見本市会場を後にし、Tortona 35〈トルトナ35〉の会場に向かう。会場の敷地に入ると、照明による案内が始まる。カラーキネックスの青や赤など自在に変化するLEDの光が、人々を展示スペースへと導く道先案内役をもこなしていた。ここは、今年2度目の出展になる「和空−Wa-Qu」も開催されていた場所である。「Wa-Qu」の展示スペースに向かっていくアプローチにも趣向が凝らされており、テープで作られた格子の間から垣間見られる中の様子や、受付から展示に向かう細い通路は、京都の路地を歩いているかのような錯覚を覚えるくらいである。写真 33

一昨年の初回展示のプロデュースをした中塚氏に話を伺うと、今回のテーマは物作りの原点に返って作品作りをした、とのこと。展示会の為に奇をてらったデザインを作るのではなく、普段の生活の中に潜んでいるもののデザインを大切にした、とのことである。また、今回は昨年度の経験を踏まえ、作品としてだけでなく商品としても通用するものに仕上げたという。それぞれの作品は独立したスペースを使って展示されており、作品を見せると共に作品を含めた空間である「間」をも見せていた。個々の作品について見ていくと、なるほど普段私達日本人の目にする素材や物が、モダンな要素を加えられて、現代に向けた新た提案になっている感じを覚えた。

例えば、山下順三氏のススダケのロッキングスツール。写真 42。山下氏の子供が丸いボールにまとわりつくように遊んでいた時に、作品のヒントを得たという。オブジェのような漆の坐面のスツールは、名前の通りゆらゆらと動くスツールである。もう一点の照明は、支えなる部分のススダケを熱により曲げを加えていき手作りするのだという。この2点の相乗効果が、わずかな空間を充分に演出していた。

草木義博氏の和紙の照明・パーテーションは。写真 34、和紙を通しての光を照明とするのではなく、和紙と和紙の間よりこぼれ落ちる光が照明になり、またパーテーションとなるものを作り出した。昨年のカーボネートとは素材が違うが襖を思い浮かべる照明である。

会場の空間プロデュースは杉木源三氏。掘りごたつに座椅子をいう普段よく目にする風景画が現代にリデザインされていた。写真 37。今年2度目の出展となるとなる「Wa-Qu」。確実に独自の世界をランクアップし展開している。展示会自体をプロデュースする中塚氏の頭の中には、もう来年の構想がされているという。

また来年のこのサローネの楽しみが一つ出来た。世界のデザイン発表の場であるサローネで、日本の伝統プラス現代のデザインがまた見られることを、期待したいと思う。









【 32 】 Tortona。35の階段のカラーキネックスのLED照明。

【 33 】 Wa-Quの受付より作品展示の間の細い通路。京都の住まいを思い起こさせる。

【 34 】 和紙による照明とパーテーション「紙の間」。デザインは草木義博。



【 35 】 着物の女性も綺麗に座れるというスツール「acom」と「for Calacc」の容器。デザインは大縄順一。
【 36 】 椅子にも、机にも、棚にもなるという「unknown」。一斤染めと呼ばれるピンク色。デザインは角直弘。
【 37 】 現代の座椅子とも言うべき「Wa-za和座」。デザインは杉木源三。今回のWa-Quの空間デザイナーでもある。
【 38 】 人が座っている一部分だけを抜き出したような「M/bokutachi no ku-ki」。デザインは辻村久信。
奥に見えるのは「sou-sou」という足袋。
【 39 】 桐材と革を使った「SHIMAU」。デザインは谷口一也。
【 40 】 シンプルなシルバーの取っての「La KIRI」。デザインは寺尾純。
【 41 】 創作和紙の光柱。デザインは堀木エリ子。
【 42 】 ススダケを用いたロッキングスツールと照明「The Bamboo Nude」。デザインは山下順三。
【 43 】 名前のごとく折り紙の紙を織り込んで作ったようなスチールの椅子「ORIGAMI」。デザインは関聡志。



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