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ロンドン 霧の向こう側
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第22回 (2)
増殖する建築メディア





■ デザイン雑誌を賑わしたスター卒業生

例年の如く、昨年の夏もAA(Architectural Association)、Bartlett(University College London)、そしてRCA(Royal College of Art)の学年末ショーに足を運んだ。三者三様、いつもながら刺激に満ちたショーである。私がいつもと違う展開に気付いたのは、毎年一番遅いAAのショーが始まって全英の駒が出揃った頃だった。建築誌 AJ(Architects’ Journal)、BD(Building Design)はもちろん、ICON、Blueprintなどのデザイン誌に軒並みトップ卒業生の作品が載っている。これまでは英国建築家協会のアワードを受賞した作品や、全国の学年末ショーの様子が建築専門誌にさらりと記事になっていた程度だった。だが今回は様子が違う。各誌、新しいスター誕生の期待に満ちた調子で新卒業生の作品を大きく取り上げているのだ。

記事のいくつかを覗いてみよう。週刊のAJ、BDは学生の顔写真入りで、全国の大学のトップ作品を紹介していた。まずはその紙面をご覧いただきたい。また、掲載されたこれら作品のうち、 実際の学年末ショーで私が見て来た二つの作品も次のページで続けてどうぞ。 【 写真 1〜13 】

一見すると記事の内容は例年通りのように見えるが、学年末ショーに出向いた記者が好みで選んだ作品が載っていた従来に比べ、今は学校側からデジタル情報をもらってそれを載せていると思われる。有名校の作品は両誌とも同じだし、両誌ともオンライン版 *1 があってそちらにも同じ記事が載るから、デジタル情報は言うまでもなく必須だ。学校側にしても自らの優秀作品が建築誌に取り上げられればコースのプロモーションにもなるので、情報の提供は大歓迎だろう。ちょっとユーモラスなのは、作品に添えられた学生の写真の中には、セレブリティさながらの風情のものもあったこと。学校ごとにさらりと紹介されていただけの昨年までと比べ、個人にスポットが当たった今年の記事は、次世代のスター発掘に焦がれるイギリス建築界の今の空気を感じさせた。

次ページに続く





トビアス・クライン
【 1 】 BD7月28日号。全英の卒業生から8名が選ばれたUK’s Top Graduates記事トップを飾ったのはバートレットのトビアス・クライン。キューバ、ハバナでは死者を海に葬る。その葬送の行進が辿る道沿いの建物の側面を祈りのファサードに変える提案。

* 1
Building Design:http://www.bdonline.co.uk
Architects’ Journal:http://www.ajplus.co.uk

ジリアン・ランバート
【 2 】 同じくBD、ウェストミンスター大学のジリアン・ランバート。雨、風、太陽、潮などの自然のエレメントで変化し続ける、空想上の建築。実験ラボを自ら作った観測に基づいた提案で、そのドローイングの美しさが絶賛されている。

デイビッド・エランド
イー・チン・パン
デイビッド・ベイティ
【 3 】 エジンバラ大学、デイビッド・エランド。マルタの港に提案されたキャストコンクリート構造は空洞を抱え込み、ラボラトリースペースを内蔵する。
【 4 】 AA、イー・チン・パン。自国シンガポールに提案した、斬新な考えのスカイスクレーパーによるマスタープラン。逆錐のフォームにより、その足下にスケールの異なる建物が可能となる。過去のマスタープランの失敗から学んでいる。
【 5 】 ブライトン大学、デイビッド・ベイティ。セーヌ川の藻の汚染を逆手に取り、その養分を活用する養殖場を提案。プロジェクトを通して一貫したストーリーテリングが高く評価された。



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