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第28回 (2)
夏の風物詩、サーペンタインギャラリー・カフェ







毎夏恒例になりつつある、ケンジントンガーデン内にあるサーペンタインギャラリーの屋外カフェが、今年も6月下旬に完成した。ザハ・ハディド、ダニエル・リベスキンド、伊東豊雄と続き、今年はブラジルの巨匠、オスカー・ニーマイヤーが登場です。今年も構造デザインはオブ・アラップがサポート。

写真は建設途中のもので(ほぼ完成に近い)、内部を見ることは出来ませんでしたが、かなりの長いスパンをキャンチで飛ばし、重そうな屋根と床を軽やかに浮かせています。さらにアプローチのスロープの「軽さ」も見事なものです。背面側の谷屋根部分からにょっきり飛び出ている雨を逃がす雨樋(とい、ではないなぁ・・・なんて言うのでしょう?)の形状など、「ほのかにモダニズム」的で、オスカー・ニーマイヤー健在を微笑ましく感じる部分であります。

ところで、サーペンタインギャラリー、毎年こんなことできるくらいなんだから、さぞかし儲かっているのだろうと思われますが、そんなことは、ない。あくまでも、スポンサーあっての話。ただのカフェですから、夏場のひと稼ぎってほど儲かるわけでもなさそうです。ただ、ここが面白いのはやはり場所性。ハイドパークとケンジントンガーデンの間で、そばには博物館・美術館が並ぶサウスケンジントン、公園の北西にはノッティングヒル。観光客が多いハイドパークは乗馬やテニスも出来るし(やれるひとは限られますが)、「都市部のイギリス人は天気の良い週末、行くところが無ければ公園に行く」というのはあながち嘘ではなく、ランチボックス持っていく。さらに、アートギャラリーにしても、なんとなく入るくらいの気楽さがある。観光と生活密着が「スポンサードする価値」を生んでいると思われる。私は、この「気楽さ」がこのカフェを生んでいると考えている。かた苦しくなく、気楽に、いつも行くカフェとは違う雰囲気の、短い夏を楽しむ為に作られるカフェ。

初めてイギリスに来たのはもう10年以上前。その頃はカフェなんてものは見当たらず、お茶するにも一苦労。結局なにもないから、パブに行くしか無かった(それはそれで楽しかったわけだが)。それが近年シアトル系のおかげで、イギリス人も「外でお茶する」楽しみを覚えたようだ。人によっては、シアトル系のせいでロンドンの町並みが変わってしまったと言う人も多いが、それは時代の流れと言うものだ。今では、お店が潰れたらそこはカフェになるかピザ屋になるか、と言われるくらい多い。(お茶をするならティールームがあるじゃないか、と言う人もいるでしょうが、あれはアッパーの人(と観光客)のもので、一般庶民はほとんど行かないのです。)

あちらこちらで建設中の建物があり、再開発があり、経済が落ち込みかけていると言われている割には元気に見える、ロンドン。しかし新しいものが増えて、景観が変わっても「ロンドンの本質」はあまり変わらない。それは都市構造が変わらないからだと思う。多少景観が変わっても、都市構造自体に変化が無いからあまり変わったようには見えない。土地が足りないからと言って公園を潰すことも無いし、高層ビルを乱立することも無い。人の求めることが、そのまま都市づくりになっている。プラクティカルなものを求め、変に歴史にこだわり過ぎず、かといって新しいものだけを賛美したりしない「求めるもの」への基準の高さは、常に大人の文化を感じさせる。きっと10年後や20年後にまたここに来ても、変わらないロンドンの姿が見ることが出来る。それがなによりもうれしいのだ。

http://www.serpentinegallery.org


※編集部より ──
仙田 有氏による「ロンドンリポート」は、今回が最終回となります。長期にわたるご支援、誠にありがとうございました。















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