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第42回 (2)
アートイベント「思い出横丁からアートする」





今まで金曜日の夜にこの場所で制作を続けていて、最近感じたことがあります。新宿という場所柄、たまにホームレスの人もやってきます。そして、しばらく眺めて、何も言わずに去っていかれる人もいますが、話をしていく人もいます。新宿中央公園が近いので、今までもホームレスの人と公園で話をしたことはあるのですが、あまり自分から積極的に身の上話を始める人はいませんでした。しかし、この「街並絵巻」という作品を間に挟むと、自然と話をしてくれるのです。「私は仙台から出てきて50年。若いときは歌舞伎町で働いていたんだけどね。今歌舞伎町に行くとその時の仲間は死んでいるか病院かのどっちかだよ。新宿なんてそんな街だよ。今も昔とちっとも変わっとらん」。

私はこの作品を、コミュニケーションアートと考えているのでが 【 写真 4〜5 】 、実はその先に、癒しの効果のあるパブリックアートとしての意味があるのではないかと考えるようになりました。もちろん、このコミュニケーションアートを挟んで、ホームレスの人とのコミュニケーションした結果気付いたことなのですが…。ご存知のように新宿には、有名な作家の作ったパブリックアートがいくつも展示されています。しかし、それらは、最も町の中で癒しを求めているホームレスの人にはあまり癒しを与えていないと言って良いでしょう。アート好きのためのパブリックアート、街の品格を上げるために投資されるパブリックアート、今ほとんどのパブリックアートはそのような方向で動いていると思いますが、街並絵巻のように複数の視線で街を見てみると、パブリックアートとしてあるべき姿はそれだけではなく、つらい境遇にある人に癒しを与えられるパブリックアートという視点もあるべきではないかと思えてきました。

そのような意味も含めて、多視点合成の街並絵巻を鑑賞していただきたいと思っています。では最後にこのアートイベントの概要紹介文を以下に載せます。土曜日の夜に思い出横丁大ガード近くでお待ちしております。よろしくお願いします。

概要;
今、街を素材にした作品作りを行なう作家は増えているが、ある時点で切り取った街もしくは、ある時点で作家が感じた過去や未来を素材にしている場合がほとんどではないだろうか、しかし、この二人は、過去から未来までの長い時間軸の上に街を載せて制作している。笠尾は全く同じ横丁の街並を絵巻物のような横長の下絵を作り、その上に街の人に透明水彩で塗ってもらうという参加型の作品を昨年に続けて今年も作り上げた。作品にはこの一年の間の変化と不変が記録されている。また、野口は戦後からの新宿の写真を丹念に収集し、時間と場所の座標の上に並べて見せるインタラクティブメディアを制作し続けている。過去のベクトルが見えれば自ずとそのベクトルは未来をも指し示しているはずである。

二人の街に対するアプローチは大きく異なっているが、重要な共通点は地域住民との対話からプロジェクトが立ち上がっているという点だろう。単に作品を制作してそれを発表するというのとは違い、長期間のプロジェクトを運営することによって徐々に地域住民からの協力を得ることができ、その力が作品の構成要素として不可欠のものとなっていく。

彼らの作品のように扱う街の時間軸が長くなれば、瞬間風速的なアートの力だけでは街とのつきあいを持ちこたえることはできなくなる。その持続的な力を生み出すのが、彼らが持つデザインへ眼差しである。一つを紹介するならば、街並絵巻を柄にした思い出横丁アロハであろう。この期間、線路沿いの思い出横丁の多くの店では、このアロハを着てお店で働いてもらうことになっている。日常のデザインとアートの新しい関係がここ思い出横丁から生まれる様子を是非ご覧頂きたい。






コミュニケーションアート
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コミュニケーションアート
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コミュニケーションアート
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