
|

|
では、しみが何かの形に見えるというのを発展させて、どちらから見ても何かの絵に見えるというのはできないでしょうか。ちょっと作って見ました。この絵は何に見えるでしょうか。 【 写真 1 】
よく見るとロブスターのようなエビが見えてくるとうれしいのですが…。では、これをひっくり返してみます。 【 写真 2 】
すると花を生けているお母さんに見えないでしょうか。即席で作ったのであまり上手くできていませんが、それでも、何とか私が意図していることは分かって頂けると思います。
これをさらに発展させると、4方向から見てそれぞれ違う絵になるような黒いしみの絵を描くこともできると思います。そのためには、コンピュータを使っての調整が絶対に必要になると思います。この様な作品ができると、例えば、地下道の交差点の真ん中にこの絵を描くことで、それぞれの方向から来た人が同じ絵を見ながら違う絵柄を見ることができることになります。私は、先ほどの絵を発展させることで、なんとなくそんな絵を自分で作ることができるような気がしています。
しみを何かしらに見てしまうと言う能力は普通の絵を見るよりも鑑賞者の能力に負っている部分が多いので、ある意味で、参加型の作品とも言えると思います。私は若いときに初めて作ったウェブカムアートの作品から常にコミュニケーションを取り入れた作品作りをしてきたので、このような、錯視を使った参加型の作品もコミュニケーションアートとして取り組んでみたいと考えています。
ところで、錯視を絵柄として利用した錯視マグが日本科学未来館のミュージアムショップで売り出されることになりました。実は、ここで一月に紹介した科学未来館の展示をもとに科学グッズを提案するという演習で提案された学生作品だったのです。この演習ではじめて実際にマグカップが商品として実現したことになります。この作品が実現するまでには、色々な問題を克服しなくてはならず、マグカップを提案した瀬川菜津美さんもずいぶん苦労しました。実はこのマグカップの錯視柄も彼女が考え出したものなのです。それがこれです。 【 写真 3 】
一般に知られている渦巻き錯視は、中心に向かって同じ傾きを持った線分もしくは、図形の斜めの配置によって、ある方向への渦巻きが見えるのですが、瀬川さんのものは逆方向の傾きの成分を持つ円が交互に入れ子になっています。そのため、一方向への渦巻きではなく、どちらに回っているでもないぐねぐねの錯視が現れてきました。
私としては、普通の渦巻き錯視の絵柄のものと2種類を作って並べたかったなと思っています。この様な錯視が生まれたのも、瀬川さんがコンピュータでいろいろと試行錯誤をすることができたからです。コンピュータアートの一つの方向として錯視は色々な可能性を見せていると思います。話がそれましたのでもとにもどしますと、このマグカップさらに仕掛けがしてあり、お湯を入れると、温感インクの青い色が出てきて、錯視効果を妨げ、「ホラ、本当に同心円でしょ」と、種明かしをするのです 【 写真 4 】 。ちょっと写真では見えにくいですね。
この瀬川さんのアイディアもなかなかすごいと思いませんか。大学に入って1年目の学生とは思えない発想とデザインです。もっとも彼女がこの作品を思いついたのは、その前年に先輩が作った錯視絵本がヒントになっていたからだそうです。実はこの絵本もここで記事にしていました。
こちらはカフェウォール錯視です。このように、毎年の作品としての積み重ねも意味を持っているのだなと感じました。とかく大学では、毎年同じようなことの繰り返しに思われがちですが、この様に演習の発展性が目に見えるのも、学外の方々のご協力を得て、発表会を行ない、さらに毎年の成果を目に見える形で残していっているからだと再確認しました。未来館に行かれた際にはショップで税込1,050円で売っていますので、商品化された学生の作品としてご覧いただけるよう願い致します。
今年も、グッズカタログを制作しております。今年はこのカタログを欲しいという方がいらっしゃいましたら、頒布したいと思っておりますので、お問い合わせ下さい。
|

|

|
|