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第4回 (3)
art space tetra

 update 2004.05.12

リポート : 田北雅裕 / デザイナー 




■ ミニマリズムとの接点
田北 : 雑誌rhythmもそういう文脈を意識して作ってるのかなぁと思ってるんだけど。
遠藤 : そうそう。例えばアートでも風俗的なものとか、イラスト的なものとか、いろんなアートがあると思うんだけど、少なくともrhythmは…何て言うんだろう、アートの歴史にのっていながらも、新しくて分けがわかんないところにあるアートに着目していきたいなぁと。現代美術の主流であり、最先端でもあり…懐古的ではなく、これからアートの歴史に位置づけられる、そういうもの。僕は作り手じゃないので、必然的に批評をしたり、プロデュース団体になったりする…のかな。
田北 : tetraはこれからなんだけど、rhythmは今まで音楽イベントをやってきたよね。音楽に関してもそういうスタンスなのかな?
遠藤 : うん。そうだね。わけが分からない音楽。そもそも音楽ってわけが分からないものだよね?(笑) 特にわけが分からない音楽を作っている人が、何故そういう音楽を作っているのか知りたいし、「音楽って何」って教えて欲しい、という気持ちもある。
田北 : 自分が好きだったり、楽しいことだったりがベースになるのかな?
遠藤 : いや、えとねぇ…。例えば、江上さん * 11 ってすごいなぁって思うんだけど…ミニマリズムって作品を作るときにお金がかかってるものがほとんどじゃん。金属とか使って。でも江上さんってそれをペラいやり方でやるんだよね。紙とか使って。それでもミニマリズムは表現できるなっていう時に、江上さんの隠れたメッセージとしては、「誰でもできるじゃん」ということで。すごいアンビバレントなんだけど「でも、おれしかできないんだよ」というところ(笑)。
一同 : (笑)。
遠藤 : 「おれしかできないんだよね」なんて実際言わないんだけど、でも本来、最先端の美術が誰でもできる状況というのが、いいんだと。それがあの人のガレージという概念なんだよ。例えば現代音楽はアカデミックな世界で生きている人しかできないけど、その辺のガレージバンドでも、すっごいハイアートにも負けない強さを持つ可能性があると。で、ミニマリズムに関しても、こんなガザガザな雑のモノで作っても、すっごいかっこいいものになる可能性があるとした時に、rhythmでイベントや雑誌でやりたかったのは、「こんなやつは、誰でもできるじゃん」と思って欲しい、ということ。実験音楽で言うと、例えば大友さん * 12 とか(笑)。「これっておれでもできんじゃねぇ?」と思えちゃうんだけど、実際やると絶対できないんだよね。だから、そういうハイなものが、「誰でもできんじゃない?」となった時に、みんなが「作り始められる」と思い得ること。で、rhythmの場合もイベントの時に来てくれた若い子が「できんじゃねぇ?」って。「んじゃぁ、明日からギター改造しようかな」とか「コンピューターで雑音作ろうかな」とか、思ってくれたらいいなぁ、と思うんだよね。例えばそれは、バンドを始める時に、くるりの曲のコピーから始めるとか…そういうのとは全然違っていて。すっごい雑で、誰でもできる方法なんだけど、それが一番かっこいいと思って欲しいし、そういう状態が、芸術の幸せに近いのかなって思う。誰でもできそうで、でも誰でもできないところに見える可能性、というのかな。もっとも原始的な方法でやった方が、各人のとんでもなさが出やすいと思う。そういう風な思考回路を作る、というのが、rhythmのイベントの役目かなと。そういうのがないんだよね。今の福岡に。
田北 : すごくいいコメントが聞けたな(笑)。
安部 : それってそのままtetraでやっていってもいいんじゃない?(笑)
田北 : いや、もうやってると思いますよ。安部さんの個展を遠藤くんがやった時点で。
安部 : そうかぁ。でもその考えって初めて聞いたよ(笑)。
田北 : こういうのって、言葉にするとすごく難しいんでしょうね。作品の見てくれとしては、すごい難しそうな一面も持っていて…
遠藤 : そうそう、アカデミックなものだったりするんだけど、ほんとうはすごいばかばかしい一面も持ってると思うんだよね。笑うもん、大友さんのライブ観てると(笑)。「こんなことを真剣にやって…」みたいな(笑)。
一同 : (笑)。
遠藤 : でもそれは、いい意味で「かっこいい」と思える部分があって。アカデミックと言ってもいいんだけど。アカデミックに見える部分があるから、ぎりぎりハイアートになり得る可能性があるというか…。すごくむずかしい。
田北 : うーん。何なんだろうね。こういうのって。よく「人間味」という言葉で片付けちゃう人もいるけど、それは違うんだよな。
遠藤 : うん。違う。ただ、その人にしかできないカタチで。そこで作家性というのが出てくるんだと思うんだよね。
田北 : tetra、面白いスペースになりそうな気がする。今日はありがとうございました。







【 10 】 2階。ここは事務所兼フリースペースになる予定。


11)江上計太:アーティスト。1951年福岡県生まれ。1977年東京芸術大学卒業。1991年第5回バングラデシュ・アジア美術ビエンナーレで最高賞受賞。1999年度第7回福岡県文化賞受賞。他に個展・グループ展多数。


【 11 】 遠藤氏所有の本。多すぎ…


12)大友良英:1959年生まれ。ターンテーブル奏者/ギタリスト/作曲家として、日本はもとより世界各地でのコンサートやレコーディング等、常にインディペンデントなスタンスで活動。映画音楽家として海外で受賞歴もあるなど、海外での評価も高い。tetraのプレ・オープンイベントでは、レクチャーとライブパフォーマンスを披露。


12.jpg
【 12 】 プレイベントの様子。(撮影:tetra)



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