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第8回
森の学校で考える「持続可能な未来」 ヴァンター自然学校Nature Trip

 update 2010.07.14

リポート : 大橋裕太郎、大橋香奈 




 フィンランドは世界でもっとも森林にめぐまれた国のひとつです。国土の4分の3は森におおわれています。湖や川がたくさんあるので、水の国ともいえます。湖は187,888もあります(※1)。「森と湖の国」と呼ばれる自然豊かなフィンランドならではの学びの体験をお届けします。

■ 幼い頃から「持続可能な未来」を考える
 フィンランドでは、7歳から基礎教育(義務教育)が始まります。法律上、学校には小・中という区分はありません。基礎教育9年間のうち最初の6年間はクラス担任が、そして残り3年間は教科教師が指導を行うことだけが定められています。フィンランド国家教育委員会(以下、国家教育委員会)がカリキュラムの核を作成しますが、現場の教師はそれぞれ具体的な指導方法や教材を自由に選択することができます(※2)。

 国家教育委員会が定めるカリキュラムを見ると、基礎教育の1年生から4年生までが学ぶ教科のひとつに、「環境と自然」があります。この授業で子どもたちは、自分たちの暮らす地域の自然環境や生態系について、多様な教材を使い、観察し、調査し、学びます。幼い頃から、「環境」「幸福な生活」「持続可能な未来」に対する責任について考えることが目的とされています。高学年で、生物、地理、物理、化学などを学ぶ際の重要な基盤にもなります(※3)。

 「環境と自然」の授業は、教室の中だけでなく近隣の公園や自然を舞台に行われます。環境教育を推進する「自然学校」や「環境学校」と呼ばれる施設も活用されます。専門的な知識を持った講師がいて、アウトドアで「環境と自然」を学ぶためのプログラムや、教師用の研修などを提供しています。今回は、ヘルシンキ市の隣ヴァンター市にあるヴァンター自然学校で、環境教育の現場を体験取材しました。

※1
出典:プロジェクト・フィンランド(フィンランド大使館)
※2
参考文献:『フィンランドの教育』フィンランド国家教育委員会
※3
参考文献:National Core Curriculum for Basic Education 2004, Finnish National Board of Education

■ 環境教育の推進役 自然・環境学校
 ヴァンター自然学校は、青々と木々が生い茂る森の入口にありました。私たちを迎えてくださったのは、校長のオッリ・ヴィディングさん。「この学校は、フィンランド語で教える自然学校の中では最も歴史があります(※4)。毎年多くの学校からの要請を受け、近隣の森を探検して学ぶNature Tripプログラムを実施しています。また、学校や幼児保育施設の教師向けに、自然や環境問題についての研修を行っています」

 自然学校や環境学校は自治体から予算を得て運営されています。活動目的は、自然についての知識や体験を提供し、持続可能な生活、環境に対する責任を認知させること。また、子どもたちに「人間は自然の一部である」との理解を促すことです。1986年に最初の自然学校が設立され、現在ではフィンランド全土で26校が活動しています(2008年時点)。

 この日ヴァンター自然学校では、ある学校の3年生がNature Tripプログラムに参加するというので、私たちも同行させていただくことにしました。 【 写真 1〜4 】

※4
フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語。スウェーデン語を使用する自然学校もあります。


次ページに続く





ヴァンター自然学校
【 1 】 ヴァンター自然学校

オッリ・ヴィディングさん
【 2 】 ヴァンター自然学校校長のオッリ・ヴィディングさん

環境教育研修の様子
【 3 】 幼児保育施設の教師向け、環境教育研修の様子

Nature Trip出発前の様子
【 4 】 Nature Trip出発前の様子



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