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■ ゼロからの出発
ここまでの話を聞くと、私たちから見れば「うらやましい」と思うことの連続です。しかし、道のりは決して平坦ではなかったのだそうです。フィンランドの人々は昔からたくさんの本を読む習慣があったとはいえ、これほどの環境が揃っていたわけではありませんでした。マリアーナさん自身が子どもの頃は、図書館は本の貸し出しだけを行う、言ってみれば「地味な」場所だったそうです。
はじめはお手本にすべきモデルがまったくなかったため、蔵書の見直しから、教育プログラム等々、すべてゼロから作らなくてはなりませんでした。蔵書の見直しは、市民へのヒアリング、特に移民で母国語の本を必要としている人々からのリクエストを聞くことからスタート。子供向けの活動担当者は、学校や保育センターのスタッフへのリサーチを繰り返したり、メディアリテラシー教育活動担当者は、受講者の質問を収集してプログラムの改良を重ねたり。スタッフの小さな絶え間ない努力の積み重ね、市民や学校、地域社会との協働が実を結び、現在のサンポラ図書館の先進的な姿につながっているのです。また、タンペレ市が教育施設への投資の重要性を理解し、図書館改革のための財源をしっかり確保したことも大きかったとのことです。
従来の「図書館」の枠を超える、多種多様な活動に取り組むサンポラ図書館。スタッフの皆さんの苦労をマリアーナさんにうかがいました。
「これは学校教育の役割かもしれない、これは家庭の役割かもしれない、と思える活動もたくさんしています。図書館の本来のミッションからすると、どこからどこまでやるべきなのかとバランスに悩んでしまうこともあります。でも、そんなときは『図書館が国を作る』という言葉を思い出します。この国をより良く発展させるためには、ひとりひとりへの質の高い教育が不可欠。私たちは、そのために図書館ができることを考えます」
最後に、「この仕事が好きですか?」という私たちの質問に、「少しでも社会に貢献できたら嬉しいし、何よりこの仕事が好き」と答えるマリアーナさんの笑顔は、とても印象的でした。 【 写真 11〜12 】
サンポラ図書館の活動から生まれる、図書館と市民社会との新しい関係性は、大変興味深いものでした。日本もこの事例から、新しい活動のためのヒントが得られそうな気がします。
※この内容は2009年11月28日取材当時の情報です。
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【 11 】 「今月のテーマ」という展示コーナーを設け、本を手にとってもらえる工夫も


【 12 】 仕事場でのマリアーナさん

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