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デンマーク Wonderful Design Life
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第5回
デザイナーとしての建築家になるための大一番、ディプロマ・プロジェクト

 update 2007.09.05

リポート : 山下裕加子 / 建築家 




6月は、デンマークでは卒業の季節です。オーフスにある建築学校でも、ディプロマ(修士設計)を終え、晴れて建築家になった学生が友達と開くパーティや家族と一緒に祝うディナーが、あちこちで行われていました。提出するまでは夜も週末もなく毎日作業に没頭してきたために、この時ばかりはディプロマから開放された喜びでパーティも大盛り上がりです。

さて、この国で正式に教育を受けた建築家として認められるまでの道のりは、日本の建築士の資格をとるまでのものとは少し違っており、デザイナーである「建築家」とエンジニアである「建築士」の違いに通じるものがあります。

デンマークには、日本の一級建築士試験のようなものは存在しません。基本的には責任が取れれば誰でも建物を設計でき、建築家を名乗ることができるのですが、「M.A.A.」(Member of Architects Associationの略)のタイトルは、自称建築家の方々は使うことができません。この、きちんとデザイン教育を受けた証である「Architect M.A.A.」の肩書きを得るためには、どうしたらよいのでしょうか?

答えは、建築の学校を卒業すれば良いのです。こう書くと試験を受けるより簡単そうな印象を受けるかもしれませんが、M.A.A.が取得できる建築の学校はデンマークには2つしかなく、日本の建築士試験と同じくらいタフな「ディプロマ(修士設計)」をパスしないといけないのです。そのディプロマのプレゼンテーションにおいて、プロの建築家になれるだけの能力があるかどうかを最終的に審査されるのです。

Aarhus School of Architecture
【 1 】 Aarhus School of Architecture。ガラスの建物がディプロマのボードが展示されるオーディトリアム。これはKjaer & Richter設計で、1997年に建てられた。
Aarhus School of Architecture
【 2 】 左からピンク、白、黒の建物もAarhus School of Architecture。ピンクの建物はオーフスで最も古い建物のひとつで、1700年代に建てられ、その後1965年にC.F.Moellers Tegnestueによって建築学校へとコンバージョン。

■ 建築家になるまで
ディプロマの例を紹介する前に、建築学校の教育スケジュールがどうなっているのか見ていきましょう。
デンマークの建築学校は、学士課程と修士課程がセットになっており、修士まで修めることが前提です。学士課程は3年(6学期)、修士課程が2年(4学期)の5年(10学期)制ですが、ほとんどの学生が1〜2学期余分に取ったり、途中で実務経験を積むためにインターンとして働いたりと、5年以上学校に所属します。

また、日本の大学で必須な教養課程というものはなく、全ての科目が建築に関係したものになっています。
最後の10学期目はディプロマをすることになっており、オーフスにある建築学校、Aarhus school of Architecture 【 写真 1〜3 】 ではその日数は130日。最初の30日は「プログラム・コンセプト」づくりに集中し、後の100日は実際のプロジェクト創りと、長い130日は大きく2つのパートに分けられます。

ここでの「プログラム・コンセプト」とはプロジェクトの背景・基礎となるもので、なぜ、何を、どこに、どうやって、どのように、を徹底的に考え、調査・分析をし、戦略を練りあげ、それらを本にまとめ学校に提出をします 【 写真 4 】 。その間も、2〜3週間に一度、もっと頻繁に必要だと判断したなら自分でアポイントを直接取って、担当の先生にエスキスをしてもらい、さらに少なくとも提出する前に1回は他の学生の前で、その時点でのコンセプトをプレゼンする機会を与えられます。担当の先生は、130日を通じて学生を「ガイド」する立場を守り、決して「教える」ことはしないそうです。

本を提出したら、休む暇も無くプロジェクト創りに進みます 【 写真 5 】 。調査・分析結果、先生や他の学生達とのディスカッションを踏まえて、自分のアイデアを発展させ、具体的な形にしていくのです。この間も先生とのエスキス、他の学生達へのプレゼンも行われ、必要ならば他分野の専門家にも相談をしに行きます。

130日目の一週間前にはプロジェクトを本にまとめ、学校に提出。これは、ディプロマを審査する審査員の方々に渡され、プレゼン当日までに目を通しておいてもらいます。ディプロマ審査の時は、学生の持ち時間は20分しかなくディテールまで説明することは難しいため、審査員の方々がその前にプロジェクトを深く理解するためにも、本は必要なのです。
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Aarhus Schoolof Architecture
【 3 】 このレンガの建物もAarhus Schoolof Architecture。3層で、屋根の下の部屋は斜めの壁にトップライトが開いている、雰囲気があるスタジオ。

提出された本
【 4 】 提出された本は、デザインも素材も多様多種。これらは学校の図書館に保存され、自由に借りることができる。

作業風景
【 5 】 学校での作業風景。雑然としてるのは、どの国も同じ。一人の作業スペースはかなり広めで、手伝ってくれる人達の作業スペースも取れ、さらに模型製作も可能。



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