ジャパンデザインネット
デザイン ゼミ
05. 日本的商品デザイン
5 日本的「商品デザイン」の誕生
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「製品」から「商品」へ。1920年代後半に展開された「T 型フォード」とGM との競争は、この推移を示す象徴的な出来事でした。
ものやサービスの価値について、「使用価値」と「象徴的・社会的価値」に分けて説明されることがあります。前者は「要求」に、後者は「欲望」に基づくものとされますが、この区分に従えば、使用価値のみを追求した「T 型フォード」に、GM が象徴的・社会的価値を持ち込むことで競争に勝てたと、という言い方ができます。つまり、ものに人為的に象徴的・社会的価値を植え付ける技術として、「デザイン」が用いられたのです。
もともと「商品」とは、「あなただけに特別なものを」というように、希少価値を前提としたものでしょう。希少であるから象徴的・社会的価値も成立した。ところが、工業製品は大量にしかも同時に提供される。そうしなければ産業活動が成立しないわけですが、ここでは希少価値は成立しません。そこで、売れそうな相手を市場や生活の動向から見つけだす技術(マーケティング)が導入され、さらに人為的に象徴的・社会的価値を生みだす方法として、広告や商品の「デザイン」が開発されたのです。広告は、商品を知らしめる役割以上に、その商品を入手することによって実現しそうな生活のイメージを提供する。そして商品には、そのイメージを解読しうる記号をちりばめる。この広告と商品のデザインを連携させて操作することにより、欲望の拡大を前提とした今日的意味での「商品づくり」が完成します。
日本企業が大衆的な「商品」を提供しようとし始めたとき、「ハードな技術」(狭い意味での「ものづくり技術」)はすでに確立されていました。そこで「商品化」にまつわる「ソフトな技術」群の導入が、昭和30年代に積極的におこなわれます。例えば、マーケティング、デザインなどなど商品の企画や開発に関する技術、セールス・プロモーションやアドバタイジングなどの販売、コミュニケーション技術、あるいは生産管理技術、品質管理技術などですが、それらを既存の技術領域と融合化させつつ、各企業独自に「商品づくり技術」を完成させていきました。この段階で「デザイン」が具体的に担った活動は、マーケティングと連係し、「生活者のニーズを捉え、リアリティーの感じられる商品づくりを進めること」と要約できます。生活者のどの層に潜在的なニーズがあり、それをどう引き出せば消費行動に結びつくかについて、マーケティングが大粋を、デザイン(商品と広告のデザイン)がリアリティーを、という連係で開発が進められる。さらに、外観によるイメージ操作だけでなく、一寸した便利さを求め「日本的一工夫」を加えることも「デザイン」の重要な仕事として認識されていったのです。
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