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構想からなんと17年。ナチスによって大量虐殺されたヨーロッパのユダヤ人犠牲者を慰霊する「ホロコースト記念碑」が、ようやく今年5月12日にブランデンブルク門の南にオープンした。ベルリンの中心でもある議会・政府地区に位置するこの周辺には、各国大使館や文化施設、オフィスビル、住宅、公園などが隣接し、突然姿を現わしたこのモニュメントは、不思議な空間を作り出している。
ホロコースト記念碑は、約1万9千平方メートルの広大な敷地にコンクリート製の石碑2,711基がグリッド上に並ぶ、巨大モニュメントだ。厚み0.95m・横幅2.38mのブロックが、さまざまな高さ(0m〜約4.5m)で連なっている。基礎になっている地面もなだらかに波打っているため、高さの異なるブロックも地面に添って自ずと波を打っている。
建築家は米国のピーター・アイゼンマン。彼はこの巨大モニュメントの間を、車椅子も通れる95cmの幅をとり、来訪者が中を自由に歩き回れるように設計している。中に入ると、迫ってくる背の高いグレーのブロックに威圧され、まるで迷路に迷い込んだような錯覚に陥る。縦横無尽に横切る他の来訪者の影もまた、見え隠れして不安な気持ちに拍車をかける。ブロックは高さも違うが、微妙な角度もついているため、どの通路からの視界も同じものはひとつもない。
なんと言っても興味深いのは、光の効果だ。一日の陽の傾きによって、巨大モニュメントは徐々に表情を変えていく。特に日射しの強い日は、鈍いマットなグレー一色の群に鋭い影を与え、ひとつひとつが力強く浮き上がる。その姿はまさに「記念碑」として人々の心に鮮烈に焼きつく光景であり、アイゼンマンは見事にホロコーストを視覚化したと言えるであろう。ちなみにこのコンクリートブロック、耐久性と落書き対策のために多工程の加工処理が施されており、落書きを簡単に消す事ができるそうだ。グラフィティ天国のベルリンならではの対策かも知れない。
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