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平均気温が10度を切るようになり、セントラルヒーティングが点火された北京です。ちなみにセントラルヒーティングは市が管理しており、寒いからといって個人が勝手にスイッチを入れることはできません。たいていは11月15日をめどに、各アパートの管理部がいっせいに点火します。11月上旬のある日突然、家の中が妙に暖かくなっていれば冬の始まり。自分で止めることもできないので、3月中旬まで24時間点けっ放しです。
木枯らしの中、劉小東(リウ・シャオドン)の新作個展「Hometown Boy 金城小子」のメディア向けオープニングレセプションに行ってきました。場所は以前のレポートでもお伝えした798芸術区のUCCAです。1963年生まれの劉小東は、新作が発表されたということ自体がニュースになるほどの著名な画家 【 写真 1 】 。2006年には、大作「三峡新移民」がオークションで2000万元(約3億円)もの高値で落札され、高騰する中国現代アートの例として話題になりました。当日はテレビ局も含め、取材に訪れた多くのメディアでたいへん混み合っていました。
近年はややエキゾチックな画題が続いた劉小東。新作は自身の故郷である遼寧省錦州の金城(現・凌海市の一部)に戻り、知人や村人をモデルにした もの。展示は三つの部分に分かれます。(1)劉小東がみずから制作のもようを記録した写真やスケッチ 【 写真 2、3 】 。(2)大空間ではメインの油彩画 【 写真 4〜12 】 、(3)制作中の劉小東を台湾の候孝賢がドキュメントした映像作品 【 写真 13 】 の放映。この構成は、サービス精神の発露なのか、話題づくりなのか、はてまた作品数が少ないのか、などとも勘ぐりましたが、別の効果があるようです。
メインの油彩画を見るとき、青年期までを過ごした故郷での制作、しかもモデルたちは知り合いということもあり、たんなる絵描きとモデルを超えた親密な空気が作品に宿っているような気がします(というより、《1》や《2》があるので、どうしてもそのように見えてきてしまう)。各作品タイトルにもモデルの名前が入っていますし。
それでいて「金城小子」は、どこにでもある小さな町の、よくある風景の中での、ごく普通の人たちのありふれた日常として提示されています。その「どこにでもある度」は徹底していて、作品をある種の普遍的な神話的風景に見せてしまう域にまで達しています。
どこにでもいる/誰でもいいはずのアノニマスなモデルと、遼寧省錦州金城の今・ここを生きる李さんだったり劉さんであったりの「個」を描く肖像画との境界。そしてこの境目こそが「金城小子」の作品群を、人間だとかその生活だとか、故郷だとか、人生だとか、大きなテーマに転換するスイッチになる。そんなふうに感じます。
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