JDNトップへ
デザインリポート
東京アートレビュー
 ジャパンデザインネット
 リポート
 東京アートレビュー
 


第24回
竹久夢二「アール・デコの世界」展

 update 2006.02.15

リポート : 八木あすか / 美術・デザインライター 




竹久夢二とアール・デコ?!
アール・ヌーヴォーではなくて…?

大正の歌麿とも呼ばれ、“大正浪漫”(浪漫、は漢字で…異国への憧れと、美意識と、矜持によって成り立つ、“あの時代”の“あの空気”)を体現したアーティストとして、近年その人気が再燃してきている竹久夢二。
その旅の遍歴(ピカソのように女性を、北斎のように居住地を)と、独特のスタイルの美人画。そして、淡い憧れと淋しさ、みずみずしさと非日常が渾然となって香りたっているような唯一無二の叙情性が、その魅力のはず…。

アール・デコ様式の骨太なイメージと夢二作品の線の細い印象がなかなか結びつかず、どんなふうに自分の先入観が裏切られるのかを愉しみに伺った展覧会。そこには、驚くほど大胆に、小気味よく世界を再構成している夢二の姿がありました。


流行雑誌にみる夢二デザイン

『婦人グラフ』十月号 表紙「化粧の秋」 【 1 】
大正13年(木版)
女性を対象にした高級画報雑誌『婦人グラフ』。 夢二はこの雑誌でエッセイや記事登場も果たしています。
美しいのだけれど、どこか微かに凄みのある女性たち。背景世界の、現実よりもほんの少し先のような外のような浮遊感が、描き出された女性たちの業のさまを上手に包んでくれているようです。女性側でも男性側でもない不思議な場所からこれを眺めている夢二。彼のこの視座が、これからご紹介するその幅広い仕事に、ひとつの共通のトーンを与えているようです。

「愛の総勘定」と題された口絵作品では、桃・菫・朱とあざやかな色が絡み合う迷宮風の背景に、女神像のような風情でたたずむ女性が組み合わせられています。迷宮のハイライト部分と同質な肌の白さが、有無を云わさぬ迫力を醸し出しています。


展示風景(アール グー ボーテ) 【 2 】
1920〜33年の間、パリで発行されていた、その名も「芸術・趣味・美」というモード雑誌。ステンシルによる細かい彩色も鮮やかに残っています。『婦人グラフ』がこの雑誌に、理念的にも物理的にも影響を受けたのは、デザインの類似性からも明らかです。

次ページに続く





『婦人グラフ』十月号 表紙「化粧の秋」
【 1 】 『婦人グラフ』十月号 表紙「化粧の秋」
大正13年(木版)

展示風景(アール グー ボーテ)
【 2 】 展示風景(アール グー ボーテ)



  1  
  2  
  3  
  4  
  5  
  6  
 N E X T