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単色の部屋と風が吹くコーナー/Room for one colour and windy corner 【 10 】
1998
送風機、短周波ライト、ラバースクリーン
photo Jens Ziehe 2004
© Olafur Eliasson
原美術館展示風景
風のカーテンをくぐりぬけると、あたたかな橙色の光で充たされたがらんとした空間がひろがります。
かすかに響く低いモーター音と、奇妙に均一な感触と圧力のある光。眠気と、不穏な懐かしさのようなものが喚起されます。
夢のなかで何度も訪れたことのある夕暮れの光景のよう…。
頭のなかには「騙されないぞ、これはまやかしだ」という警鐘が鳴り響いているのに、なにがおかしいのかすぐにはわかりません。
誰かと一緒に来た方は、その相手を。
ひとりで観に来た方は、自分の手を。
じっと見つめ直してみてください。
… なにかがそっくり削ぎ落とされてしまっています。
… そう、部屋のなかは相変わらず橙色なのに。そのあたたかみさえ感じることができるのに。
顔も手も、服もカバンも。自分が纏っていたはずのすべての色彩がぬぐいさられ、モノトーンの明暗のみで構成しなおされてしまっているのです。あの入り口の風のカーテンに、全部持っていかれてしまったのでしょうか。
まるで映画「Color of Heart」の世界の人物になってしまったかのよう。世界の概念をうちやぶらなくては、色は取り戻せないのかもしれない…。
ふだんデザインの仕事で、何気なく写真などの明度・彩度を調整したり色数を減らしたりしているけれど、ひょんなことから“調整される側”の世界に入ってしまったのかもしれない…。
色彩というのは、人の心や個性を護る鎧の役割も果たしているのかもしれません。
こつこつと身の上に重ねてきたイメージの薄膜(バリア)を一気に剥がされたような、寒気をともなう身軽さ、ヒナの時代に戻った心地。
某ゲームの敵の技の、自分たちにかけたさまざまなスタイタスアップの魔法を一瞬で無効化されてしまうあの波動を思い起こさせます…。
どんなに派手な色も、激しい模様も、グレースケールに落とし込んでしまうこの部屋。しかし、ひとつだけ、色を奪われずにいられるものがあるのです。
それは、“自身で光を出せるもの”。携帯電話を出してみると、待ち受け画面がいつもの色でちゃんとそこに輝いています。物語のなかの、迷える旅人に与えられた啓示のよう。示唆に富んでいます。
ちなみに、ニュートン以前には、色の見えるしくみとして“人間の眼から色のついた光が出ていて、物体に反射したものが色として認識される”とする説もありました。中世らしいロマンチックな理論で個人的には好きなのですが、この部屋の中では残念ながら成立しないようです。
2006年原美術館屋上で公開される常設作品の模型/Proposal for rooftop work (model) 【 11 】
2005
photo Jens Ziehe 2005
© Olafur Eliasson
原美術館展示風景
原美術館のパーマネント・コレクションになる予定の作品の、設計図と模型が展示されていました。美術館の独特な形状に霊感を得たもので、屋上に設置される“予定”とのことです。
太陽の航路と連動する“予定”のこの作品、模型には軌道計算のためのアーチが幾重にもかけられ、仮想の太陽からの光をうけてちいさな虹が出現しています。壮大な日時計のようなものになるのでしょうか。世界の運行が刻まれていくような、逆にそのしるべとなるような。
楽しみです。
鑑賞者の感覚の枠組みを利用しながら壊して再構築する。その全過程に鑑賞者を参加させてくれる、ある意味とても基本的な美術体験のありかた、それがオラファー・エリアソンの作品。
どの作品からもポジティブな印象を受けるのは、人間の感覚や適応能力というものを作家自身が強く信じ、その可能性に期待し、なにより心の底から愉しんでいるからなのでしょう。

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「オラファー エリアソン 影の光」展
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会場:原美術館
会期:2005年11月17日〜2006年3月5日
休館:毎週月曜日(ただし1月9日は開館)、12月26日〜1月4日、1月10日
時間:11:00〜17:00
水曜のみ20:00まで開館(祝日を除く)
(入館は、閉館時刻の30分前まで)
入場:一般 1,000円
URL:http://www.haramuseum.or.jp
問い合わせ:03-3445-0651
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【 10 】 単色の部屋と風が吹くコーナー/Room for one colour and windy corner
1998
送風機、短周波ライト、ラバースクリーン
photo Jens Ziehe 2004
© Olafur Eliasson
原美術館展示風景


【 11 】2006年原美術館屋上で公開される常設作品の模型/Proposal for rooftop work (model)
2005
photo Jens Ziehe 2005
© Olafur Eliasson
原美術館展示風景
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