
|

|
ミラノサローネにヘルシンキ芸術大学(以下UIAH)が参加する。
全展示中で最も先鋭的なデザインを紹介することで毎年注目されるサテリテ会場の今年のメインテーマは「レストラン」。インテリア、ファニチャーの歴史の展示や、有名シェフによるマルチメディアショウ、VIP向けのレストラン(招待状がないと食事はできないが、ガラス張りになっていて一般の人も外から覗ける)といった企画に加え、各国から選ばれた10校のデザイン教育機関の学生によるレストランのインテリア提案のスペースが設営される。実在のレストランから出された「お題」に対して、各大学のプロジェクトグループが約100平米のスペースの展示で答える、という形式だ。UIAHが受けたお題は「日本食レストラン」。プロジェクトを指導したMartin Relander氏に話を聞いた。
まず、デザインの基本コンセプトをたずねると、
「コンセプト設定の前に、『ヘルシンキのダウンタウンに開業するウルトラモダンな日本食レストラン』と、更に具体的な設定をしました。次にこれにマッチするコンセプトとして、「2つの異なる文化間のコントラスト」というアイデアが出てきました。すなわち、(伝統的な日本のイメージではなく)今日の東京などの大都市に見られる活力と混沌と、ヘルシンキのメランコリックな白と黒の世界を対比/融合して表現できないか、というわけです。これを具体化するために私たちが行き着いたのが、店内の色を全て白で ── ただし様々なトーン、テクスチャーを持った「ヴァラエティに富んだ白」で ── 統一するという手法です。」
現時点ではスケールモデル 【 写真 1 】 でしか確認できないが、アクリル製ファニチャー、床の白砂利、壁のフェルト製テキスタイルなど、それぞれ異なる素材感の「白」によって空間が構成されている(ちなみに店の名前も「White」)。
ラウンジ用のファニチャー 【 写真 2 】 は、中央部に座面より少し高いだけのテーブル面を持つ円形の椅子。テーブルにきちんと正対するフォーマルな西洋式とは違い、日本式の床に座ってする食事形態に近い。リラックスした雰囲気作りを狙ったという。日本人の僕の眼から見ると、なるほど、そういうのもアリかな、という感じもするが、これが果たしてヨーロッパの人に受け入れられるだろうか? その点をたずねると、
「最初は私もそれが気になったのですが、学生たちは『それでも人々がどんな反応を示すか見てみたい』という強い意志を持っていました。イベントの性格から言っても、むしろこういう多少トンガった提案性があった方がいいのではないでしょうか」
プロジェクトには、スペース・ファニチャーデザイン学科の学生のほか、セラミック、グラフィック、ファッションデザイン学科からも参加しており、それぞれの立場からコンセプトに沿った提案がなされている 【 写真 3〜6 】 。
会場の中央部にはファストフードショップが設置され、そこで買ったものを各大学の展示スペースに持ち込んで食べることができる。UIAHの展示はこのショップの真正面になる。
「人がたくさん来過ぎないかとちょっと心配ですが、ある意味、この日本風ラウンジ形式の利点を生かすチャンスだとも思います。通常のテーブル席と違い、座れる人数がきっちり決まっていませんからね」
さて、どんな評価を受けるのだろうか。ともかく、サローネに行く人は、要チェックだ。
プロジェクトメンバー
指導教官:Martin Relander, Yrjo Wiherheimo, 三宅有洋
スペース・ファニチャーデザイン:Ildze Kundzina(ラトヴィア)、Nana Turunen(フィンランド)、Jani Koivula(フィンランド)、Mareks Birznieks(ラトヴィア)
グラフィックデザイン:Sasha Huber(スイス)、Petri Saarikko(フィンランド)
ファッションデザイン:Naoto Niidome(フィンランド/日本)
テキスタイルデザイン:Maja Gecic
セラミックデザイン:Jeremiah Tesolin(カナダ)、Alex Estadieu(フランス)
パートナー企業:Kartell S.p.A.
会場:Salone Internazionale del Mobile, Pavilion 9 (SaloneSatelite)
会期:2004年4月14日〜19日
|

|

|


【 1 】
スケールモデル。オープンな空間にダイニング(左壁際のバーカウンター)とラウンジを並置するという基本構成。実際の展示では2つの長いテーブルはなし、壁面のパターンもメトロポリタンの景観をモチーフとしたものに変更される。また、想定したレストラン(500平米)の1/10スケールモデルと、様々な「白」のマテリアルサンプルも展示される予定。(撮影:Marco Melander)


【 2 】
ラウンジファニチャー。展示の際にはアクリル製のものになる。(撮影:Marco Melander)


【 3 】
セラミックのテーブルウェア。(撮影:Chikako Harada)


【 4 】
サーヴィングスタッフのユニフォーム。(撮影:Chikako Harada)

|
|