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桐山登士樹 : Milano Slone 2005 Report ! 〜 Final 〜

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「ミラノサローネ2005」開催から2カ月。桐山氏より今年度を統括するレポートが到着。

桐山登士樹 Toshiki Kiriyama
デザインディレクター株式会社TRUNK主宰、富山県総合デザインセンターデザインディレクター、世田谷文化生活情報センター生活工房ディレクター、YCSデザインライブラリーディレクター。 JDN関連コーナー　→　「桐山登士樹の注目デザイン＆デザイナー」

ミラノサローネ2005を振り返って

4月の開催から2カ月経ち、ミラノを再び訪問すると各社、次への準備のために躍起になっている。会期中のブリーフィングを終えたデザイナーが来年に向けてのプレゼンを行う大切な時期である。この時期を逃すと9月まで待たなくてはならない。イタリアでも一部では2週間程度の夏休みに変わりつつあるが、そうこうしていると試作時間が限られ、企業にもデザイナーにも良い結果を残さないことになる。

Lexus L-finesse
インビテーション(表・裏)
デザイン:粟辻デザイン

Lexus L-finesse
画家:千住博
ウォーターフォールシリーズ「喜」「怒」「哀」「楽」　*NYのスタジオ写真

正直、モノだけでの限界が来ていることは以前にお伝えしたとおりである。一作品のみでデザインコンセプトやデザイン展開を語るのは難しくなった。企業が欲しているのは、ブランドであり、シリーズである。B&B社のように力のある企業でも、さらに企業ブランドを高めるために確実に集客や効果のある場所に積極的に進出しようとしている。EU市場が冷え、投資家抜きでは考えられない、この業界でもビジネスのためにはブランド経営学は外すことができない重要課題である。

Lexus L-finesse
LF-Aのコンセプトモデル

そうしたなかでデザイナーはどう対応したらよいのだろうか。的確な答えはないが、簡単にデザインを捨てないこと、核になるデザインとそのバリエーションまでを含めて提案することである。人がいる限りソファー、椅子、テーブル、ベッド、小物、照明はいつの時代でも必要なアイテムである。また、オリジナリティの高さは絶対必要である。特に若いデザイナーは既成概念にとらわれない自由な発想が武器となる。また、その為のクリエーションからマテリアル、製作方法に至るまで高いレベルでの見識(経験知)が必要である。例えるならば、今回「Lexus」で依頼した建築家の石上純也さんのようなデザイナーである。

Lexus L-finesse
妹島和世　「シャンデリア」
*LED照明　撮影:平井広行

彼とはプロジェクトで半年以上マンツーマンで付き合った。難題をクリアーするために試行錯誤を繰り返した。あらゆる要望にも立ち向かい、頑固なほどに主張し、試作を繰り返し検証した。その為週に何度も会い、携帯は一時彼との通話のためのツールと化した。さまざまな忠告もした。しかし、振り返るとモノづくり姿勢としては見事と言うしかない。

石上氏の作り上げたオリジナリティは世界の主要人物、メディアに確実に評価された。今後どのように成長していくか楽しみである。同時に支えたチームの存在も大きかったことは、改めて記するまでも無い。

Lexus L-finesse
石上純也　椅子「low chair」とテーブル「round table」
*テーブルは素材:カーボンファイバー　撮影:平井広行

来年どんなサローネになるか全く分からないが、今年のサローネを振り返り、日常会話のレベルまでデザインに関心を持つ層が広がったことがなにより嬉しい。日本の企業もさらに世界で評価されるようにブランドフィロソフィとデザインを語って欲しい。

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Lexus L-finesse
石上純也椅子「low chair」
*素材:発砲スチロール+レース加工　撮影:平井広行

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