
|

|

最後に、改めて3331という場所について詳しく紹介したい。
ことの始まりは千代田区が平成17年1月に策定した「千代田区文化芸術プラン」である。その重点プロジェクトとして、平成17年に廃校となった旧練成中学校を利用する「(仮称)ちよだアートスクエア」の運営団体を募集し、平成21年5月に合同会社コマンドAが選出された。3331は民設民営の施設であり、運営団体のコマンドAは代表を努める中村政人をはじめメンバーの多くがアーティストであり、アートと社会を繋ぐ場所を自らの手で作り上げていく。アーティストとしての活動を継続しながら大型の施設を運営していく労力は並大抵のものではないが、その意気込みに惹きつけられ活動に参加する人が多いのも事実だ。デザインディレクターにASYLの佐藤直樹、広報ディレクターに「REAL TOKYO」発行人兼編集長の小崎哲也と、強力なディレクター陣が存在する。また、運営は数多くのボランティアスタッフにも支えられている。
“東京だけでなく、日本各地や東アジアをはじめとする世界中をつなぐ「新しいアートの拠点」となることを目指す”と標榜する3331。新しいアートの拠点とは具体的にどういったものか、すぐには頭に浮かばない。個人的意見だが、多くの人々にとってアートは“日常”ではない。美術館やギャラリーなどの特定の場所に用意され、鑑賞する対象として存在することが多い。その非日常の空間でアートが自分の琴線に触れたとしても、日常に戻ればまた遠いものになってしまう。アートと自分の距離感がそんな状態であるから、最近いたるところで聞こえる「アートの力で社会を変えよう」と謳う試みを見ると、何だか雲を掴むような話に思える。
では3331はどうなのか。いわゆる「アートを鑑賞する場所」として捉えると、どこか違和感がある。包括している内容が一般的なアートの認識の枠を超えているからだ。どういった場所かと尋ねられると、一言で表すことが難しい。そんな全貌の捉えにくい3331という場所だからこそ、アートと私たちの新しい関わり方を提示してくれるのでは、と期待を抱いている。入居団体の幅広い業態や、交流・参加型のプロジェクトが多いことも加わって、その場所にはいつも人々の会話がある。しんと静まりかえり、神妙な気持ちで見るばかりがアートではないと思わせてくれる場所である。
ちなみに3331の由来は、おめでたい席で感謝の意を表す「江戸一本締め」だ。「シャン・シャン・シャン」を三回打つことで「九=苦」となり、最後に「シャン」と一回締めることで「丸」になる。そのリズムを数字で表したものだ。オープニングでは、参加者全員による一本締めが響き渡り、この場にふさわしい賑やかな幕開けとなった。
3331に関わる多くの人々がもたらす相乗効果が、今後どのような発展を遂げるかを心待ちに思う。その進化の先に形となる「新しいアートの拠点」が、私たちの日常に大きな変化をもたらしてくれるだろう。

| 
|



【43】企画書など書類の一覧からは、オープンまでの長い道のりを感じる
|

【44】1Fには「カフェ Food Lab 3331」がオープン。イベントや展示などのスペースとしてレンタルも可能。入居者の交流の場としても活躍
|
|

|