
なぜ、人は「F1」に熱狂するのか。
ひとことで言ってしまえば、“未知なるスピードへの憧れ”に尽きる。誰も到達したことのない境地へと向かって、各チームは車体やエンジンなどの技術開発を急ぎ、優れたドライバーの確保に奔走する。そこには、モータースポーツの進化の歴史、ドライバーの人間模様が映し出されている。
その中でデザインが果たしてきた役割について検証したのが、東京オペラシティアートギャラリーで開催中のエキシビション「F1−疾走するデザイン」。日本では、デザインという言葉は造形の美しさに意味の力点が置かれているが、実際、DESIGNとは、“図案、下絵、設計”というのが第一義だ。会場に展示されている8台のF1マシンを見終わった後、きっとDESIGNに対する認識が変わっていることだろう。デザインとは見た目だけが大事なのではない、機能を伴った美しさが重要なのだと。そして、まさに、「F1」は“究極の機能美”だと…。 |


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エキシビションホールに足を踏み入れた瞬間、なぜだか気分が落ち着かない。一台一台じっくりと見ていきたいのだが、奥には子どもの頃に憧れたJPSのブラックのマシン、そして、マルボロレッドに彩られた今は亡き不世出の天才ドライバーのあのマシンが見える…。
駆け出したくなる衝動をぐっとこらえて、F1の歴史に沿って一台ずつ紹介していくことにしよう。まず、最初はエンジンに革命をもたらした「Cooper T51」だ。 |

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最初の部屋を入ったすぐのところにある写真。1950年、初代のF1世界選手権を制した「アルファ・ロメオ158」。
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最初の部屋。片方の壁面には、F1の歴史がはじまった1950年から1989年までのトピックが紹介されている。一番奥にはアイルトン・セナが駆ったマシンのリヤウイングが見える。
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コンストラクター:クーパー・カーズ 英国
製造年:1959
エンジン:コベントリー・クライマックスFPF 直列4気筒
排気量:2,499cc
最高出力:230bhp 7,500rpm
グランプリ出走回数:126回 |

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古いモノクロの映画に出てきそうなノスタルジーを感じるデザイン。馬車の長い歴史から“乗り物の動力源は前にあるもの”という考えが支配的であった時代に、パーツの中でもっとも重いエンジンを車体の中央に置くことで、マシンのバランスを飛躍的に向上させた革命的なマシン。1959年に開発されたこのリヤミッドシップ・エンジンは現代のF1においても主流となっている。 |

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コンストラクター:ブラバム 英国
製造年:1966
エンジン:レプコ620 V型8気筒
排気量:2,994cc
最高出力:302bhp 9,000rpm
グランプリ出走回数:25回 |

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エンジンの最大排気量の規定が、1,500ccから2倍の3,000ccに変わった1966年を制したのは、馬力に頼らないマシン開発を行ったブラバム。軽量で優れた車体、サスペンションを持つ「BT20」は、力に頼る時代の終焉を思い知らせた。英国のナショナルカラーであるグリーンとゴールドのカラーリングが印象に残る一台だが、ロータスがマシンを企業の広告スペースとして提供するようになる1968年以降、これらのナショナルカラー(英国は緑、イタリアは赤、フランスは青など)は消えていくことになる。 |

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コンストラクター:チーム・ロータス 英国
製造年:1976
エンジン:フォード・コスワースDFV V型8気筒
排気量:2,993cc
最高出力:485bhp 11,500rpm
グランプリ出走回数:37回 |

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「Brabham BT20」からわずか10年で、マシンのフォルムがここまで変わったことに驚かされる。1960年代の葉巻型のデザインと決別し、1970年代にロータスが開発したのは、空気の流れを強く意識したウェッジ(くさび)・シェイプ・デザイン。空力対策を重視したマシン開発が、この時代からはじまった。デザインの視点から見ると、これ以降、マシンのフォルムは大きくは変わっていない。個人的な話で恐縮だが、F1と聞いて一番に思い出すのが、この漆黒のマシン「Lotus 77」。それだけ当時、インパクトのあるカラー、デザインだったのだろう。 |

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コンストラクター:マクラーレン・インターナショナル 英国
製造年:1988
エンジン:ホンダRA168E V型6気筒ターボ
排気量:1,494cc
最高出力:685bhp 12,500rpm
グランプリ出走回数:32回
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コックピットのすぐ後ろに描かれた“Senna”の文字。完全無敵だったあのシーズンを思い出す…。1988年のシーズン、「MP4/4」は16戦15勝。とにかく衝撃的な強さだった。その理由として、アイルトン・セナとアラン・プロストという2人の天才ドライバーの存在、ホンダRA168Eエンジンばかりが注目されるが、もうひとつマクラーレンがデザインした車体も見逃せない。「MP4/4」は、車体が低く設計されることで空気抵抗を低減、そして同時に低重心化も実現し、操縦安定性にもつながった。馬力を最大限に発揮しつつ、空力バランスを極限まで追及した結果、ターボエンジンをドライバーの背面に隠すデザインは生まれたのだ。 |

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最初の部屋の年表の1988年あたりでは、アイルトン・セナが紹介されている。そういえば、「F1 ─ 疾走するデザイン」開催中に、セナの命日(5月1日)を迎える。
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