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深澤直人×原研哉 ─ デザイン漬け ─
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先月末に刊行された「NAOTO FUKASAWA」。全世界同時発売の、英語版の深澤直人作品集です。プロダクトデザイナーとしてこれまでに手掛けた100点以上の製品を、深澤さん自身の言葉で詳しく解説。独自の革新的なデザインアプローチを明らかにした一冊とあって、デザインに関心のある方なら、誰しもがその内容を気にされているところではないでしょうか。

5月27日、青山ブックセンター本店隣の東京ウィメンズプラザホールでは「NAOTO FUKASAWA」の刊行記念対談「深澤直人×原研哉 ─ デザイン漬け ─」が開催されました。深澤直人さんご本人と、ブックデザインを担当されたグラフィックデザイナーの原研哉さんが、本の構成を紹介しつつ、深澤デザインの核心部分を解説した一時間半。今回はその内容とともに、「NAOTO FUKASAWA」の内容を一部紹介いたします。








しばしば人が集まりすぎて会場に入れないこともある深澤直人さんの講演会。今回は予約制・定員制ながらも受付開始前から長い列が作られ、キャンセル待ちをする人の姿も見られました。深澤さんが「闘牛場のような」と表現して聴衆の笑いを誘った会場は、当然ながら満員御礼。若い方がやや多かったのですが、さまざまな年齢の方が集まっていました。観覧希望を募ってから締め切りまではわずか数日ということで、そんなところからも「深澤デザイン」に対する関心の高さが伺えます。

東京ウィンメンズプラザホール
エスカレーターを降りた所が、会場の東京ウィンメンズプラザホール。

キャンセル待ち
会場は事前申し込みで満員。キャンセル待ちの受付までできていました。

入場
入場の際には長い行列が。

円形の会場
「四国の闘牛場のような会場で話すことになった(笑)」と表現していた円形の会場で。














本を書くきっかけとなった「深澤直人」に対するイメージ













深澤直人さん
深澤直人さん

原研哉さん
原研哉さん
深澤さんがメディアの取材を受ける際に、決まって「ミニマル、シンプルなデザイナーといわれていますが」との問いかけがあるそうです。日本でも海外でも、聞かれることは同じ。それに対して深澤さんが「シンプルというのは形のことではない、最も自由度がある機能を見出すために結果としてにミニマルになる」という話をすると相手は「思っていたデザイナーのイメージとちがうかも」と思い始める。そんなことが何回もあり、表向きは深澤直人がシンプルなものを出すデザイナーとして捉えられていて、実際とのギャップがあることに気づきます。本を執筆するにあたって、その裏側にあるものが何かを自分で語ろうと思い、実際にそうしたことで「自分があらわになっている、丸裸になった感じ」と語る深澤さん。「NAOTO FUKASAWA」は、これまで一般的に思い描かれていた深澤直人というデザイナーの見方が変わるであろう作品集だと言います。

写真
布の表紙に印刷することと、グレイの空気を捉えた写真にこだわりました。

ミニマル
シンプルでミニマルなデザインと評される深澤さんのデザイン。













深澤直人さんの背中を押した、ブルーノ・ムナーリの言葉













powerbook
powerbookで書面の案内をしながら対談は進みました。
表紙を開くと、まずはブルーノ・ムナーリの文章が引用してあります。「多くの芸術家やデザイナーは説明なしでわかって欲しいから、語らない。でも私は語る、なぜならそれを皆が知りたがっているからだ」と、日本語に訳せば、そういう意味になります。深澤さんは最初、本を書くときに躊躇されたそうです。自分のことを語らないようにしようと思ったこともあった。本を出すと決まったときに、これまでどんな思いでデザインをしてきたのかを話そう、という気持ちを後押ししてくれたのがこの言葉だったということが、巻頭に紹介されています。













Without Thought/考えない













Without thought
Without thoughtの書かれたページについて語る。

傘
タイルの目地に傘の先端が置かれています。

対談
カジュアルな対談の予定だったはずが、次第に難しい方向に(しかし楽しそう)。
「NAOTO FUKASAWA」という本の中の見出し(タイトル)は、日本語化すると唐突な感じですが、その言葉に沿って深澤さんのデザインアプローチが解説されている、という構成になっています。この解説を読み進めると「ああなるほど」と納得できるようになっているのですが、最初に記されたタイトルはWithout Thought、考えない、という言葉。

Without thoughtという概念を端的に説明するのは「傘立て」の例です。傘立てのないところで、たまたま床がタイルだったりすれば、皆が傘の先端をタイルの目地に合わせて立てる。だったら、タイルの目地と同じ幅の線が玄関に引いてあれば、それで十分だろうという考え方です。つまり、考えないでも100人が100人とも同じファンクションを抽出してタイルの目地を使う、というのがデザインの始まりであって、傘立ては円筒状をしていて云々というところから形を作ってしまいがちだけど、その前に人間とモノとの関係はもう成立しているから、そこから始めたほうがいいんじゃないだろうか、ということが書かれています。

: アフォーダンス(affordance)という概念を深澤さんから聞いたときに印象に残っているのは、ガールフレンドとドライブをしていてコーヒーを買ったときにカップをどこに載せるかいう話と、傘立ての話ですね。ガールフレンドの話は、二人でドライブに行くと自販機があって、買うとひとつ目のコーヒーカップが出てくる、それをどこかに置かないと、ふたつ目が持てない。見渡すと車のルーフがあって、それがテーブルに変わって次の行動に移れる。程よい高さの、程よい硬さのルーフが、カップを置くことをアフォードしている、という話です。深澤さんの考えを説明するとき、この二つを出すんですが、そうすると皆「ああナルホド」と言って僕の話は忘れて、傘立ての話とコーヒーの話だけ覚えて帰っちゃう(笑)。

深澤 : その話は、ルーフにカップを置いた状況が、彼女のも取ってあげるという彼の優しさ、二人の関係を表すというところにつながって、without Thoughtにやったことが全てを語るんです。「私は彼女を愛してます」とか一切説明しなくても分かる。考えないで、ということこそ重要です。本で語っている傘立ての話も、傘立てと分からないで置く訳ですね、ここでいいかな、と。でも雫が傘を伝って、目地に沿って水が流れていく時には、客観的に見るといい関係が成り立っている。それが最終的なゴールなんだけど、それを目的としてはいけないということを本では言っています。








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