ジャパンデザインネットのトップページ
リポート
「ニッポンのデザイナー展」にむけて 桐山登士樹×関 康子×西山浩平
 ジャパンデザインネット
 リポート
 JDNリポート
 
戻る

次へ


「ニッポンのデザイナー展」にむけて 桐山登士樹×関 康子×西山浩平





関氏・西山氏
西山氏「100人に入らなかったけれどポテンシャルをもっているデザイナーに対して、今後何をするのか」

桐山氏
桐山氏「どう仕掛けていくのか、が僕ら自身の課題」

関氏
関氏「日本は、特にインダストリアルの主流はハイテク製品ですから、ロイヤリティをもらうほど息が長くありません」

西山氏
西山氏「優れたデザイン関係者を紹介することで、次の世代が憧れを抱き、学んでいく」





デザインとビジネスを結ぶ課題
N:多くのデザイナーとコミュニケーションができるようになることは、ビジネス的には「仕入れができた」段階と言えます。次に、意味合いを深めたり、政府に対してメッセージを発し、付加価値をつけるのが今回の展覧会や継続的な討論です。その次は輸出をしなきゃいけないですね。仕入れて、加工して、輸出、それで資金を回収してまた仕入れ…すみません、ひとりでビジネスモードですが(笑)。でもどんなNPO団体も政府も、資金繰りはしていますから、そういった経済の循環でいうと、いまは仕入れて加工がはじまったところ。どこかで回収して、業界に還元しなければならない状況ですよね。そのメカニズムを考えたときに、キーとなるのは英語とネットワークだと思います。もちろんアナログの本と展覧会を活用しない手はないんですが、今欠けているものは主にそのふたつではないでしょうか。

メーカーと違ってプロダクトを売るわけではなく、展覧会とか、日本のデザイナーってこんなにいるんだという、編集したコンテンツを売るわけですよね。今回は書籍という形で販売しましたが、売り方は本でなくても何でもよいと思います。扱うのは日本のデザイナー100人の役割ですね。彼らの、世界に対する役割が多少なりとも変わるような持ち出し方をできるといいと思うんですよ。デザイナーに海外のメーカーからオファーがくるといった従来のステップ以上に、もっと別の方法はないだろうかというところを論点として固め、英語でPRを始める必要があるんじゃないでしょうか。

100人に入らなかったけれどポテンシャルをもっているデザイナーに対して、今後何をするのか。従来のような海外メーカーからのオファーだけでハッピーではないだろうということを問題提起し、別の活動をしてもっといい次のステージを考えることをマニフェストにしなきゃいけないと思います。

K:ステップアップしていくためには、デザインはまだまだ特殊な世界であって分からないという、非常にドメスティックな問題もあります。デザインの環境を変え、デザイナーがさらに主張していくためには、まだ曖昧模糊な状況ですよね。昔は時代ごとにムーブメントが起きやすかった傾向がありますが、現代はこれだけ情報過多で、産業自体も多様化していて、もはや通り一遍のムーブメントはおこりづらくなってきています。その中で、どう仕掛けていくのか、が僕ら自身の課題でもあり、社会との接点としても、そういう動きは必要でしょう。

N:たとえばミラノサローネや100%DESIGNのように、コンペではなくデザイナーが自分のデザインをプロトタイプで発表する場がありますよね。そのために、出展ブース費用やプロト制作費や搬送費用をすべて個人で負担するのはとても大変なことです。特に普段のデザイン活動だけではその準備期間中の収入を得ることすら非常に難しい。
また、企業の仕事をして成功していると言われるデザイナーも、キャッシュはあるが資産はない。フローばかりでストックにならない状況は問題ですよね。

K:確かに、日本はロイヤリティの制度が確立されつつあるとはいっても、まだ安定した収入に繋がることは多くありません。 イタリアだと、ロイヤリティで年収1億円を超えているデザイナーは何人かいますが、そういう環境のためには、ビジネス環境自体を新たに作り出さなければいけないんです。そのために、日本では企業に対してエデュケーションが必要だと思います。こうやったらあなたの会社は成功を得ることができるのですよ、という形づくりをイチからやっていかないといけないんですよ。

S:イタリアのプロダクトで、ロイヤリティが発生しているデザインには家具や生活用品などの比較的ローテクなものが多いですよね。一方で日本は、特にインダストリアルの主流はハイテク製品ですから、ロイヤリティをもらうほど息が長くありません。でもその分、製品の命が短いというか、スピーディな製品開発のお陰で経済が成り立っている側面もあり、若いデザイナーにも仕事のチャンスが多いという利点もあるわけです。この相反する矛盾をどのようにうまくやっていったらいいかというところなんでしょうね。

N:デザイナーが豊かな生活を送ることを考えると、年収が1億円はいらないと思うんですよ、たぶん。でもたとえば600万円の安定した収入がロイヤリティであるとすると、やっぱり全然ちがうと思うんです。そういった生活をデザイナーに提供するためのインフラを、僕らで作っていけないかなと思うことがあります。「空想生活」の運営はそこの部分にも力を入れていきたいと考えています。

K:それは共感できますね。

N:デザイナーとプロモーションと発明をする人、この3人がチームを組んでコミュニティを広げ仲間を集めていくっていうことは、実際にエレファントデザインの事業でもプロモートしエデュケートしています。中身はローテクでもデザインの力で売り上げを伸ばしている商品は実際にありますし、これからもまだまだ出て来る可能性があります。国内だけでなく、輸出して海外展開も行えば、さらに可能性が広がるのではないでしょうか。

K:そうですね、マーケットは10倍以上と考えられますからね。

N:そうすると、デザイナーが将来の生活を設計してけるような、インフラストラクチャーとプロモーションを、今回の100人のデザイナーが率先して行い、他のデザイナーが刺激を受けて追随していけば良いのでしょうね。
優れたデザイン関係者を紹介することで、次の世代が憧れを抱き、学んでいく。過去の商品が将来にわたって継続した収入に繋がる活動をできるように、我々のようなプロモーションする人間やデザイナー、あとは発明するエンジニアがチームを組むことでちゃんと機能し、それを日本がビジネスモデルとして持続させ、そこにメーカーとデザイン界と政府とメディアがくっついたような形で動いていければいいんじゃないかと考えています。

K:これまで日本では、そして現在でもまだなおデザインをお金儲けとして考えるのは二の次だったところがあります。今後はデザインビジネスモデルを実証できるようになれば、デザイン界自体の信用度ももっと増してくると思いますね。







戻る

次へ




JDNとは広告掲載について求人広告掲載お問合せ個人情報保護基本方針ウェブサイト利用規定サイトマップ
デザインのお仕事コンテスト情報 登竜門展覧会情報

Copyright(c)1997 JDN
このwebサイトの全ての内容について、一切の転載・改変を禁じます。