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 スクリーンに映し出されたCG映像と解説を並行する伊東氏。CG画像は「MIKIMOTO」。

 伊東豊雄 氏



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「伊東豊雄 建築|新しいリアル」
まずこの展覧会は、通常の建築展とは違う、子供が見ても楽しめる。そんな展覧会にしたいと考えました。視覚的に見るのではなく、その中に入ってみる。身体全体で想像する。とにかく入館者に「楽しんでもらいたい」という想いが強くありました。私たち事務所(伊東事務所)で「今日」考えていることを展示したいと思いました。ただ回顧するような展覧会ではないということです。

模型ですが、全て1/10や1/20のスケールで出来ています。今までに造ったことのない、大きな模型となりました。例えばMIKIMOTOの模型はグランドピアノ(約300kg)くらいの重さです。是非とも模型の中を覗きこんでいただき、『物質(モノ)としての建築』の持っている力を感じていただければと思います。

会場の床にいくつか穴が開いていますが、あれは実は途中で思いついたことなんです。
床に直接、模型を置きたかったのですが、そうするとどうしても上から模型を見ることになってしまう。そこで、床の穴に少しでも座り込んでいただき、少し低いところから模型を見てもらおうと考えました。模型は1/10や1/20のスケールで出来ているので、模型を造るときは現場と同じように溶接を繰り返して造り上げました。


我々のテーマは 「自然と建築との関係を取り直す」 ことです。
現代建築、現代都市が大きなスケールになり、過密な都市開発が進み、自然との関係がますます失われてしまった。
極端にいうと、大きな大都市(NY、東京、シンガポールなど)の高層ビルが増え、どれがどの都市なのかすらわからない時代になってしまった。それらはほとんど均質な立体格子(グリッド)の連続で出来ているのです。その中で我々は生き、働き、生活をしている。言い方を変えると、いわゆるデカルトの座標軸の中で暮らしているようなものだと思うのです。
そのうちに、人間が本来持っていたみずみずしい感受性や生命力を失いつつあるのではないか。いまや建築は、情報と経済のためだけの器になってしまったのではないか。

建築家の ル・コルビジェは 「住むための容器、生活の器」 だと主張しました。純粋な『幾何学』の美しい建築、ピュアで抽象的な建築が美しかった当時は、自然から独立することが建築の美しさだったのです。
しかし時代は変わり、建築のスケールが拡張し、現代では逆に『幾何学』な建築は人間の感受性を失わせるのではないでしょうか。

現代建築と自然界の間を取り持つような建築をめざすこと

私たちの理想の建築は、まん幕一枚で自然のなかに囲い込まれた場のようなものです。自然と交流することで、周りとは全く違う場所を形成する。そこには『幾何学』の発生はなく、これから発生する『建築』を見ることができる。そのような建築の面白さを求めることは可能なのか、挑戦したいのです。

模型をつくる技術は今やデジタル化され、自動的に形態が削りだされ、最後は人間の手によって模型を造るわけですが、それと同じようなプロセスで造られる建築がいつか実現するのではないでしょうか。
設計、施工が一連の作業によって模型を作るように、建築が建ち上がる日が来るかもしれないのです。
そんな様々な思いを込めながら、この展覧会を開催しました。

撮影協力 : 東京オペラシティーアートギャラリー
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