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水越香重子
MIZUKOSHI Kaeko


[ 略歴 ]
1976   東京生まれ 東京在住
2005   多摩美術大学造形表現学部造形学科卒業

[ 個展 ]
2003
  「acceptance-escape」多摩美術大学(東京)
2005
  「Enthusiasm」トキ・アートスペース(東京)
2006
  「In the wind」ヨシダテハウス(横浜)
2007
  「DELIRIUM」資生堂ギャラリー(東京)

[ グループ展 ]
2003
  「b aHks-1 / b aHks-2」アウトラウンジ(東京)
2004
  「シェル美術賞展」ヒルサイドフォーラム(東京)
「一時間後のための土壌」世田谷美術館市民ギャラリー(東京)
「新種の島」スタジオビッグアート(横浜)
「Art45」ギャラリーヨコハマ(横浜)
2005
  「多摩美術大学卒業制作展」上野の森美術館(東京)
「ハンガリアンマルチカルチュラルセンター第11回国際レジデンシー展」バラトンレジャーアンドコンフェレンスセンター(バラトンフレド、ハンガリー)
「新世界地図展」ベニサンスタジオ(東京)

[ 受賞歴 ]
2004
  「シェル美術賞2003-2004」入選
2006
  「資生堂art egg」入選

[ その他 ]
2006
  六本木ヒルズクラブ内アートワーク常設展示
「Nomad Theater vol.1」アップリンク・ファクトリー(東京)
2007
  「Nomad Theater vol.2」ZAIMシアター(横浜)

DELIRIUM
2007

DELIRIUM
2007

DELIRIUM
2007

DELIRIUM 会場風景


Enthusiasm
2005

Enthusiasm
2005

In the wind
2006

In the wind
2006
<曖昧なもの>の強度

現代アートの世界では、ここのところずっと、映像インスタレーションという形式での作品発表が多くなってきている。ハリウッド映画に代表される商業的な映像作品が、一定の約束事に則った「わかりやすさ」、そのステロタイプさを前提としているとすれば、こうした映像インスタレーションでは、むしろ「わかりやすさ」は回避され、わたしたちが感じている微妙な感情や社会的経験の複雑で曖昧な内容を、型にはまったかたちではなしにそのまま表出するのを狙っていることが多いようだ。
水越香重子の映像作品も、そのような「曖昧さ」の表出を意図したものと思われる。たとえば「Enthusiasm」(2005年)は、小説『嵐が丘』の舞台となった土地を再訪したときの印象を、写真とビデオで構成したインスタレーション作品で、小説のモデルとなった廃墟や、物語と直接の関係はない周辺の風景を映し出すなかで、小説と水越の記憶/印象とが曖昧に交錯する作品となっている。 また「In the wind」(2006年)は、観光地の湖と、その岸辺のゲストハウスで働くひとりの女性を撮影したもので、ストーリー性のない画面の連続のなかから、ひとつの「空気」と作者自身のオーヴァーラップする「記憶」の諸相を浮かび上がらせようとした試みである。
水越の作品が持つ個性とは、たぶん、ひとつひとつの画面構成のセンスが良く、カチっとした枠組みが与えられていることで、作者の伝えたい「曖昧な領域」が、そのままで、ある「強度」を伴って見る側に浸透していくところにあるのではないだろうか。型にはまらず名付け得ないからといって、私たちが感じている微妙な感覚が弱いとは限らず、むしろ曖昧であるからこそ強さを持っているとうことがありうるわけだが、水越の作品はそうした領域の特異性をよく示していると思われるのである。
近作「DELIRIUM」(2007年)では、3面のプロジェクターを同時に使い、はっきりとしたストーリー性はないながらも、むしろ意図的に何処かストーリー性を喚起させるようなモティーフ(古い洋館、少女とその長い髪、山羊…)を使って、鑑賞者それぞれに独自の「物語」を発見させようとしている点が新しい、といえる。画面の強度は相変わらずで、だからこそ観る者一人ひとりに訴えてくる物語性も強いのだが、ある意味でキッチュでポップなモティーフ(イメージ)を使用したことに関しても、鑑賞者に対する新たなコミュニケーション性をもたらしているといえるだろう。現代のイメージの行く末を考えさせてくれる営為として、彼女の作品を今後も注視していきたい。
〜 倉林 靖/美術評論家


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