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 ウェブスカイドア 現代篇
 



松原 健
MATSUBARA Ken


[ 略歴 ]
1949   東京生まれ
1973   武蔵野美術大学卒業

[ 主な個展 ]
1981
  アクシス・ギャラリー(東京)
1982
  鎌倉画廊(東京)
ポラロイド・ギャラリー(東京)
西瓜糖(東京)
1987
  LIGHT GALLERY(ニューヨーク)
STUDIO 666(パリ)
ポラロイド・ギャラリー(東京)
1988
  ピクチャーフォトスペース(大阪)
「トゥイステッド パースペクティブ」PS ギャラリー(東京)
JAYNE・H・BAUM・GALLERY(ニューヨーク)
1990
  「ヴァーティカル アンド ホリゾンタル」PS ギャラリー(東京)
1992
  JAYNE・H・BAUM・GALLERY(ニューヨーク)
1993
  ウッドストック写真センター(ニューヨーク)
細見画廊(東京)
アート・サイト(福井)
1997
  「透過・凝結・反射」ギャラリーαM(東京)
2004
  「スリープウォ−カー」Bergdorf Goodman Window(ニューヨーク)
2006
  「スリープウォ−カー」MA2ギャラリー(東京)

[ 主なグループ展 ]
1981
  「第12回版画グランプリ展」日動サロン(東京)
「フォー・スターズ」カド・ギャラリー(東京)
1987
  「AIPAD Show」(ロサンゼルス)
1988
  「写真とその周辺II」画廊みやざき(大阪)
1989
  「グループ展」アヌシー文化会館(フランス)
「回顧展1986-1988」STUDIO 666(パリ)
1990
  「静物/ことばなき物たちの祭典」静岡県立美術館(静岡)
「日本の版画・写真・立体『観念の刻印』」栃木県立美術館(宇都宮)
「Le Fleuts」STUDIO 666(パリ)
「Le Fleuts」ギャルリー・フォトグラフィック(トゥールーズ)
1991
  「マニエラの交差点」町田市立国際版画美術館(東京)
「第20回現代日本美術展」東京都美術館、京都市美術館
1992
  「Photography of Contemporary Art」ウォーカー・ヒル・アート・センター(ソウル)
1993
  「Breda Fotografica '93」De Beyerd Breda(オランダ)
1994
  「Inside Out Contemporary Japanese Photography」The Light Factory Photographic Art Center(ノースカロライナ)
The Kemper Museum of Contemporary Art & Design(アメリカ)
Kansas City Art Institute, Kansas City(ミズーリ)

[ 主な公的コレクション ]
インターナショナル・ポラロイド・コレクション、ケンブリッジ、マサチューセッツ
日本ポラロイド(東京)
ニューポート・ハーバー美術館(カリフォルニア)
ゴールドマン・サックス・コーポレイション(ニューヨーク)
ヴィリュールバンヌ図書館映像音響資料館(リヨン)
NYNEX(ニューヨーク)
リーダーズ・ダイジェスト(ニューヨーク)
チャンピオン・インターナシナル・コーポレイション(コネティカット)
ベイリー美術館(ヴァージニア)
ヒューストン美術館(テキサス)
ベル・アトランティック・コーポレイション(ニューヨーク)
東京都現代美術館(東京)

[ 受賞 ]
1991
  第20回現代日本美術展、東京都美術館賞

SLEEPWALKER 1
2006

SLEEPWALKER 2
2006

SLEEPWALKER 3
2006

SLEEPWALKER 6
2006

Vertical and Horizontal 5
1991

Vertical and Horizontal 23
1993

Vertical and Horizontal 9
1991

Vertical and Horizontal 14
1991
夢の形象と救済

近年は稀にしか発表を行わないアーティストである松原 健の、以前の作品は、トリックのようでいながらトリックでない、現実感を揺さぶるような奇妙なイメージをもった写真作品であった。最近彼が発表したのは、2枚のイメージを並列させるところから生まれる、夢の形象としての作品群である。そこには、ある種の名状しがたい不安感、欲望、原型的イメージなどが示されている ── 燃え盛る火の輪、不安定な位置に置かれた水の入ったコップ、割れるコップ、核兵器のキノコ雲のようなかたち、自己を食い尽くす蛇、女性の髪、鳥の姿に擬せられた弱者と強者の姿、等々 ── 。そこにはスタティックなものと動的なものとの不思議な同居関係がみられる。個々のイメージが提出しているのは、現実よりも現実的な夢独特のリアリティであり、それが2つ並列されることによって、それらのイメージの狭間から、不可視の、眼にみえないイメージ的な広がりが私たちのなかに喚起されることになる。この独自な浮遊感は、ライト・ジェット・プリントという印画形式によるマットな雰囲気と、抑えられた色彩感覚によってより助長されているが、これは SLEEPWALKER 夢遊病者というタイトルにまことにふさわしい。
もともと以前の写真を制作していたときも、イメージそのものよりもむしろ、ぴんと張り詰めた作品全体が発する「空気感」のようなものが、松原の作品の本質を成していたようである。アウトプットとしての写真という形式に拘っていないため、その発表形式は逆に、写真に撮る前のオブジェの段階を展示するというかたちをとることもあった。作品が与える空気感を大事にするということはまた、松原自身がどこかで述べていたように、作品とは作者の心象風景の表出であるという、美術にとって本来的な存在意義を彼が信じていることの、別な表れであるようにも思われる。かつて松原はあるインタヴューで、美術家であることの喜びとは「作品を作ることによって自分が救済されていくのを感じること」だと述べていた。彼の近作は、イメージと心理が分かちがたく結びあい、自己表出を通じた治癒を希求していくという精神の動きをあらわした作品の、新たな展開の開始を告げるものとして、注目すべきものであろう。
〜 倉林 靖/美術評論家


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