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尹 煕倉
Heechang Yoon


[ 学歴と活動略歴 ]
1963
  兵庫県に生まれる
1986   東京造形大学造形学部デザイン学科卒業
1988   多摩美術大学大学院美術研究科修了
1993   滋賀県陶芸の森 招聘作家として1ヶ月滞在し制作
1995   文化庁芸術家在外派遣研修でイギリスに1年間滞在
1997   イギリス レスタシャー ラフボロウ美術大学陶芸科及びレンガ工場で3ヶ月滞在し制作

[ 主な個展 ]
1987
  松村画廊 (東京)
1988
  かねこ・あ−とG1 (東京)
1990
  なびす画廊 (東京)
1991
  双ギャラリ−(1992年) (東京)
ギャラリ−なつか (東京)
1992
  トポス・エトノス かわさきIBM市民文化ギャラリ− (川崎)
ギャラリ−NWハウス (東京)
1993
  「呼吸する壁」ギャラリ−・キャプション(1995年、2000年、2004年) (岐阜)
1994
  ヒノ・ギャラリ− (東京)
1997
  「そこに在るもの」静岡県立美術館 (静岡)
2000
  ギャラリー小柳 (東京)
2001
  名古屋画廊 (名古屋)
2002
  世界のタイル博物館 (愛知)
ギャラリー小柳 (東京)
ナノ・リウム (山梨)
2005
  ガレリア・アビターレ (東京)

[ 主なグループ展 ]
1985
  「2人展」ギャラリ−21 (東京)
1986
  「神奈川県美術展」神奈川県立県民ホ−ル・ギャラリ−(1988年) (横浜)
「ミ−ムプ−ル」小原流会館 (東京)
1989
  「第9回ハラアニュアル」原美術館 (東京)
1990
  「現代彫刻の歩み 8−1970年代以降の表現−物質と空間の変容」神奈川県立県民ホ−ル・ギャラリ− (横浜)
「土の造形」栃木県立美術館 (宇都宮)
1991
  「土と砂のイリュ−ジョン」ギャラリ−αM (東京)
1993
  「Art Today'93」セゾン現代美術館 (長野)
「環境彫刻 & ユ−モア・ア−ト展」ふなばし海浜公園 (千葉)
1994
  「21世紀・的・空間」セゾン美術館 (東京)
「素材の領分」東京国立近代美術館工芸館 (東京)
1995
  「やわらかく 重く」埼玉県立近代美術館 (浦和)
「還流」愛知県美術館/名古屋市美術館 (名古屋)
2002
  「光州ビエンナーレ・THERE: site of the Korean Diaspora」 (韓国)
「エモーショナル サイト」佐賀町食糧ビル (東京)
2004
  「アルス・ノーヴァ――現代美術と工芸のはざまに」東京都現代美術館 (東京)
2005
  「国際陶磁ビエンナーレ・Trans-Ceramic-Art」世界陶芸センター (韓国・利川)

[ レクチャー ]
1993
  「自作を語る」滋賀県陶芸の森
1994
  「作家座談会・素材の領分展」東京国立近代美術館ホール
「ゲスト講師・美術特殊講義」東京造形大学
1995
  「作品について・日韓―現代美術の位相展」愛知県立文化センターホール
1997
  「The Ceramic Sculptures in Japan」ラフボロウ美術大学
「そこに在るものについて」静岡県立美術館
2001
  「シンポジウム・尹煕倉『そこに在るも』のと空間」名古屋画廊
2002
  「じぶんの土」世界のタイル博物館
2003
  「光州ビエンナーレ報告」ディアスポラ研究会 東京経済大
「ゲスト講師・3年生造形演習・3週」武蔵野美術大学 彫刻科
2004
  「新しい工芸教育をめぐる研究」多摩美術大学
「ギャラリートーク 橋本真之氏と」ギャラリーまき
2005
  「ギャラリートーク」南洋堂書店Nプラス

[ コミッションワーク ]
1994
  老人保険施設「双樹園」 (愛知)
2001
  睦学園 兵庫大学4号館 (兵庫)
2002
  静岡県立ガンセンター (静岡)
マンション「ザ・ハウス南麻布」 (東京)
2003
  個人宅 (京都)
マンション「グランヒルズ千葉・春日」 (千葉)
マンション「南麻布5108」 (東京)
オフィスビル「アビターレ」 (東京)
2004
  マンション「プラウドジェム・市ヶ谷」 (東京)
マンション「カルシア・2」 (福岡)
2005
  個人宅 (奈良)
愛知製鋼 聚楽亭 (愛知)

[ パブリックコレクション ]
2000
  東京オペラシティーアートギャラリー 寺田コレクション (東京)

[ 著作 ]
単著
1993
  「呼吸する壁」ギャラリーキャプション
1997
  「そこに在るもの」静岡県立美術館

共著
1993
  「陶 −Vol.73 東京編U」京都書院 多岐 徹「序」
2005
  「静寂の音−Sound of Silence」静寂の音の会

「そこに在るもの」
1991年

「そこに在るもの」
1997年

「そこに在るもの」
2004年

「何か」
2005年

「そこに在るもの」
2003年

「何か」
2004年

「何か」
2004年

「そこに在るもの」
2005年
「在ること」の夢想

ユン・ヒチャン(尹 煕倉)は一貫して「そこに在るもの」という陶のシリーズを制作し続けている。文字通り、それらからは、存在していること以外の一切の属性が剥ぎ取られているようにみえる。しかしそれは、例えばドナルド・ジャッドのアルミ作品のような人工性を帯びているわけではない。作品のよってたつ論理性を際立たせ屹立させるのではなく、周囲の空気に微妙に溶け込みつつ、しかもなおしなやかに自立していこうとするスタンスを持っている。周りにある存在、あるいは流れる時間や取り囲む「場」をひそかに息づかせ、活性化させるもの。取り去ってしまえばかつてそこに在ったことを忘れそうなもの、しかしまたそれ自体で強靭な存在感を持っているもの。それはいわばジャッドのような西洋性に対して東洋的な性格を帯びている、ともいえるかもしれないが、そうした単なるステレオタイプな二元性に還元できない、「在ること」の哲学と夢想にひとを誘いこむような性格を持っているのである。たぶんひとつには、陶という工芸的な素材を使いながら、何の用途も持たない立体物である、という点が、そのような性格を生む要因になっているのだ。
そこから、一方では、ユンの作品は陶による平面的な作品へと広がっている。上記の立体物が平らになり幅を持ち、それによって平面になっているというおももちである。この表面にはイメージらしきものが認められるが、これは絵画におけるのと同じイメージと捉えるべきなのか、それとも立体物の表面に現れた文様と同じ属性を持つものなのか、この点からみてもユンの作品は不思議な問いを観る者に投げかける。
また一方では、ユンは近年、作品を建築物、なかんずく住宅建築とコラボレーションさせることが多くなっている。この展開は、先に述べたような彼の作品の性格から考えれば、じゅうぶん納得できることであるが、それは同時に、やはり、「作品」という存在とは何なのか、という静かな問いかけを私たちに呼び覚まさずにはおれないのである。住宅と作品に関わるあるエッセイでユンは自らの作品を、沈黙の印象を生じさせる音(Sound of Silence)に例えている。沈黙の深みを感じさせる音。それと同じく、ユンの作品が一見備えている簡潔性の印象は、(世界が、場が、ものが、ひとが)「在ること」の深みを豊かに感じさせるための、標柱にほかならないのだ。
〜 倉林 靖/美術評論家


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